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「役所は何のリスクも取らない。やる方は命がけですよ」

中島真人イデアクエスト会長、工学者の一念で介護ロボット実用化へ

2014年5月29日(木)

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 介護ロボットをはじめとして福祉機器や医療機器を開発するイデアクエストというベンチャー企業がある。誕生してまだ2年あまり、今秋からまず認知症の人を見守る介護ロボットを売り出す計画だ。有用なものと実際に認められれば、高齢化が進む今、かなりの需要が見込める。そのイデアクエストを引っ張るのは、中島真人代表取締役会長である。慶応義塾大学名誉教授だが、学者らしからぬ異才である。

 基本となる人工知能による画像監視技術は、工学博士の中島が現役教授時代に発明したものである。だから早々と商品化できるのだが、中島は6月末で71歳になる。なぜ今、事業化に乗り出したのか。「僕はエンジニア、つまり職人です」と自任する。研究室にこもって論文を書いて満足しているただの学者先生ではない。「僕ら工学者は、開発した物を世の中に出して、使ってもらって初めてナンボです」。

 「工学者は理学者とは違う。たとえば、理学者は『私は山が好きだ。そこに山があるから登る』で済む。僕らは『あの山に登るのは、そこにダイヤモンドがあるかもしれないから』なんです」。近く製品化する認知症の人を見守り安全を確保する機器が役立てば、高齢化が急ピッチで進む日本にとって幸いだ。しかし中島のこれまでの軌跡を見ると、挫折、また挫折の連なりである。それを乗り越えて、まだ世に問いたいものがあるという工学者の一念が、今の中島を突き動かしている。

認知症の人を見守る介護ロボット

 社名のイデアクエスト(IDEAQUEST)は中島の造語である。プラトン哲学のイデア(ギリシャ語idea)、精選版日本国語大辞典によれば「超越的原理」と、「探究」を意味する英語のクエスト(quest)を合成したものである。会社は東京の羽田空港にある。元ジャンボジェット機の格納庫ビルの中だ。部屋では中島と社長の坂本光広以下、総勢26人が働いている。「ここは役員も社員もみな同じように働いているので、『従業員』という言葉は使いたくない。だから僕も含めて『会社構成員』と言っています」と中島は語る。

 試作中の機器が置かれている脇で20人ほどのエンジニアたちが仕事をしている。隣の部屋には、マシニングセンターなどの工作機械が備えてあり、試作も同時にできる。親方を中心に作品作りに励む工房のような雰囲気である。その中でほぼ完成している1つが、ベッドで寝ている認知症の人を見守る介護ロボットである。認知症の人は寝てからも思わぬ動きをする。ベッドから転落したり、取り付けてある手すりに首をひっかけたり、さらに部屋を徘徊して出ようとしたりする。

 簡単なセンサーでは姿勢の変化はわからない。監視テレビでは、介護者の負担が重いし、認知症の人のプライバシーが守れない。イデアクエストの機器は、手の届かない天井近くにセンサーカメラを取り付け、赤外線レーザーで約2000個の点を寝ている人の体に投影して動きをとらえる。仕組みは、寝返りなどのたびに変わる約2000の点の位置を人工知能で解析して、危険な状態かベッドを離れようとしているかを見守るというものだ。危ないと判断すると、別の部屋にいる介護者に警報を発する。

イデアクエストの見守り介護ロボットの試作機(左)とその仕組みの概念図(右)

 特徴は、テレビと違って多数の点によって姿勢を抽象的な形で把握するので、プライバシーを害さない。また呼吸の状態も監視できるので、呼吸に乱れが起きた場合もただちにわかる。優れているのは、布団をかぶったままでも見守れる点である。介護施設の省力化や在宅介護の負担軽減のために活用することを想定している。

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「「役所は何のリスクも取らない。やる方は命がけですよ」」の著者

森 一夫

森 一夫(もり・かずお)

ジャーナリスト

1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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