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鉄とカネで東南アジアに勢力拡大を目指す中国

2014年5月29日(木)

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 中国とベトナムの関係が揺れている。

 中越両国が領有権を主張する南シナ海にて中国海洋石油(CNOOC)が石油掘削をしていることに反発したベトナムの民衆が反中デモを起こした。暴徒化した一部の民衆が中国系企業や外資系企業を襲い、死傷者が出ている。ベトナム当局はその後、事態を重く見てデモを抑えこんでいる。中国外交部は5月18日、企業活動や観光を含め「両国間の交流を部分的に中止する」という声明を発表した。

 ベトナム当局は反中暴動に関わった2人の男性に有罪判決を下したが、中国外交部報道官の秦剛氏は5月26日、「全然足りない」とこれを一蹴。暴動の過程で損害を被った企業や個人への賠償をベトナム側に要求している。

 ベトナム外務省が、西沙諸島がベトナム領である歴史的根拠を示したことに対しても(23日)、秦剛報道官は「でたらめで、ばかばかしい。ベトナムの国際的信用レベルはとても低い」と批判した。西沙諸島近海で、ベトナム漁船が中国漁船から体当たりされ、沈没したという報道もある(ベトナム紙トイチェ電子版、26日)。

 ベトナムだけではない。中国とフィリピンの間でも、南シナ海の領有権問題を巡るにらみ合いが続いている。最近、絶滅に瀕しているウミガメを船に載せていた中国の漁民を、フィリピン当局が拿捕。その後起訴した。突発的に起こる事件が両国関係に緊張を走らせる、一触即発の様相を呈しているのは中越関係と同様である。

 5月21日午後、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領とベトナムのグエン・タン・ズン首相がマニラで会談し、「中国の違法行為に対し、協力して対抗していくことを決めた」(ズン首相)。

オバマ大統領がようやく東南アジア訪問

 これら一連の事態を、同地域を歴訪したばかりのオバマ米大統領はどのような心境で観察しているのだろうか。

 アジア回帰・リバランシング(再均衡政策)を提唱するオバマ大統領は4月末に、同盟国であるフィリピンを訪れた。この際、同国と新しい軍事協定を締結している。米大統領として48年ぶりに足を踏み入れたマレーシアでは、緊迫化する南シナ海問題や、進展が期待されるTPP(環太平洋経済連携協定)交渉などについて積極的に話し合った。

 オバマ大統領は、自国の政府閉鎖問題で昨年10月の訪問を見送った東南アジアにおいて、米国の存在感と役割を再提示すべく振る舞った。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は、中国の影響力が日増しに高まるこの地域におけるバランサーとしての役割、中国の勢力拡張政策を監視・牽制する役割を米国に担ってほしいと思っている。日米同盟が東シナ海を含めたアジア太平洋地域において、公共財として機能することもASEAN諸国を安心させる材料となる。

 米外交当局のある高官は筆者にこう語る。「我々は東南アジア諸国の政治・経済動向を注視している。例えば、ベトナムのような国が豊かになっていく過程で自由民主主義をどう取り入れていくか。ベトナムをTPPに積極的に関与させる必要がある。高いレベルの投資活動や英語教育などを通じて、ダイナミックな成長を続けるこの地域で米国がしかるべき影響力を行使することが、中国との関係を考える上でも重要だ」。

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「鉄とカネで東南アジアに勢力拡大を目指す中国」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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