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米国の「株高と債券高」共存の怪

FRBの呪術を解くのはやはり中国リスクか

2014年6月2日(月)

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 102円前後での推移が続くドル円や1万4000円台での往来が続く日経平均、そして0.6%前後に張り付いた長期金利など、日本の各市場は一定レンジの中に収まった準固定相場のような印象すら受ける。もっともそれは日本に限った話ではなく、世界中の市場で方向感の乏しい展開が続いている。

 各国の株式市場では、地政学上のリスクや冴えない経済指標で下落する場面が見られても、順調な景気回復シナリオに基づく買い意欲が下値を支えし、為替市場ではユーロ売りや円買いの気配が浮かんでは消える、という局面が続いている。新興国通貨も平穏を取り戻し、債券市場でも南欧国債の嵐が過ぎ去って静寂感が戻ってきた。

 どのマーケットでも業者泣かせのボラティリティ低下が顕著となっているおり、JPモルガン・チェースやシティグループなど米大手金融機関は相次いで4-6月期の市場部門の業績低迷見通しを発表している。

 実体経済にとってみれば市場の安定は歓迎すべきことだが、嵐の前の静けさという言葉もある。故ミンスキー教授が指摘したように、相場が安定すると借り入れによる投資(レバレッジ投資)が増え、次なる大変動を引き起こす土壌にもなり易い。金融危機が起きる直前まで喝采を浴びていた「グレート・モデレーション(超安定期)」が復活する、と信じる人はそれほど多くないだろう。

イエレン議長のマインド・コントロールが機能か

 そんな変動率の低下の中で浮かび上がってきたのが、米国市場における「株高と債券高の共存」という不思議な現象である。債券高とは、市場金利低下のことに他ならない。日本の低金利と違うのは、日本国債が日銀に買い占められて身動きが取れなくなっているのに対し、米国では量的緩和が縮小しているのに長期金利が低下している、という点である。

 通常、景気回復が期待されるなら「株高と債券安」、景気低迷と見れば「株安と債券高」というのが資本市場のパターンである。アナリストらの本年のメーン・シナリオが前者であったことは言うまでもないが、現在米国市場で観測されているのは、景気回復期待の中での「株高と債券高」という奇妙な組み合わせなのである。

 これは、単に一時的で過渡的な現象なのか、あるいはどちらかが根本的に間違っているのか、それとも「ニュー・ノーマル」とでも言うべき新たな定常的市場構造なのだろうか。

 最高水準を更新し続ける米国株の堅調さの理由としては、金融緩和継続の長期化観測や企業決算への期待感、そしてマクロ経済における堅実な成長予想などが挙げられよう。一方で債券の強さに関しては、同じく金融緩和の継続期待や地政学上のリスクなどが指摘されているが、米国経済の行方に関して債券市場は株式市場に比べてかなり慎重だ。

 両市場におけるマクロ経済の見方の違いは「コップに水が半分も入っている」という株式市場の楽観と、債券市場における「コップに水が半分しかない」という悲観の差である。その相容れない感覚の隙間を埋めているのが、FRBの金融政策であることは間違いない。その意味では、「株高と債券高の共存」という不思議な現象は、イエレン議長の市場マインド・コントロールが実に上手く機能している証左だ、ということも出来るだろう。

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「米国の「株高と債券高」共存の怪」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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