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じゃあ日本で何を作るの?

コンビナート縮小後の石油化学の未来予想図

2014年5月30日(金)

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 設備停止、生産撤退、事業縮小…。暗い話題ばかりが続く日本の石油化学コンビナート。需給ギャップの解消には構造改革が不可避だろうが、では一体、設備を壊した跡地はどのように活用されるのだろうか。そうした素朴な疑問からコンビナートの未来像を追ってみた。

 「日本の石油化学コンビナートの中で最後まで生き残る仕組みを作るメドが立った」。

 三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学は5月上旬、鹿島事業所(茨城県神栖市)のエチレン生産設備2基のうち1基を停止した。三菱化学の岡本純一常務執行役員は生産能力を従来の5分の3に落とした鹿島についてこう述べ、安堵の表情を浮かべた。

 ロシア語で「総合企業」を意味するコンビナートは日本で独自の進化を遂げた事業形態といえる。

三菱化学が設備1基を停止した鹿島事業所。コンビナートは日本の石化事業の象徴といえる存在だ

 コンビナートでは分解したナフサから、エチレンのほかプロピレン、主にゴム原料になるB-B留分などを抽出する。それらの原料からさらに合成樹脂や繊維、ゴムなどの誘導品を作り出す。ナフサの大半を輸入する中東からのアクセス面を考慮し、コンビナートは太平洋や瀬戸内海の沿岸部に置かれている。

「自分の耳を引っ張ると、隣の人の盲腸が痛くなる」

 石油精製や化学会社など、コンビナートを形成する工場は互いにパイプラインでつながっており、自動的に原料を融通できる仕組みができあがっている。この1か所で様々な誘導品を作り出せるという立地優位性が日本の化学産業の発展を支えてきた。

 「自分の耳を引っ張ると、隣の人の盲腸が痛くなる」。ある化学メーカー幹部は日本のコンビナートの仕組みをこう表現する。川下の誘導品メーカーが複雑に絡み合う構造から、一つの原料を止めれば、予想外のところにも影響が波及する可能性があるからだ。

 日本全体のエチレン生産能力は年約760万トン。ここ数年、100万トン前後の供給過剰が続いていたが、なかなか再編が進まなかったのは、取引関係にある企業数が多く、利害が複雑に絡み合うコンビナートの特性が要因となっていた。

 ここにきて住友化学が2015年に千葉で、旭化成が2016年に水島でそれぞれエチレン生産設備を1基ずつ止めることを決めたが、「3年かけて社内と社外の説得を進めてようやく実現できた」(旭化成関係者)というほど、水面下で苦労の絶えないタスクだったという。

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「じゃあ日本で何を作るの?」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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