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もし、中国が天安門事件を“清算”したら?

共産党の政権安定か? 第2のソ連化か?

2014年6月5日(木)

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 2014年6月4日、天安門事件から25年が経った。

 胡耀邦の突然の逝去(1989年4月15日)を受けて、学生や知識人たちが同氏を追悼するとともに、業績を賞賛する集会を催した。これが、その後、民主化運動へと発展していった。

 学生運動を“反革命暴乱”と見なした長老・鄧小平は武力による鎮圧を決断する。学生運動を“愛国的な民主運動”と擁護した趙紫陽は、鄧小平や党内保守派の李鵬らと対立した。趙は天安門事件を機に失脚。現在に至るまで、“趙紫陽”の3文字は中国メディアにおいて一種のタブーとなっている。天安門事件そのものが中国共産党にとって負の遺産であり、暗黒の歴史だからだ。

 6月3日未明から4日にかけて、天安門広場及びその付近において、軍部が学生や市民たちに向けて発砲し、多くの生命が失われた。当局の発表によると、死者319人(軍部を含む)、負傷者9000人。死者2000人前後という報道もあった。この模様は、メディアを通じて世界の至るところに伝えられた。

 軍部が一般民衆に向かって発砲するという行為は、20世紀も終盤に差し掛かっていた時代に生きるコスモポリタンたちからすれば異常な光景であり、米国をはじめとする西側諸国は中国共産党を激しく非難した。と同時に、この“人権弾圧”行為に対して経済制裁を課した。政府間交流も中断した。中国政府は、西側諸国による人権弾圧に対する非難を内政干渉とみなした。両者の対立は激しさを増した。

 同年11月、ベルリンの壁が崩壊する。東欧諸国の社会主義体制がドミノのごとく崩れ去っていった。そして天安門事件から約1年半後、ペレストロイカに象徴される民主化を進めていたミハイル・ゴルバチョフが大統領を辞任し、ソビエト連邦が解体した。

 この頃、アメリカの政治哲学者フランシス・フクヤマ氏(現スタンフォード大学シニアフェロー)は“歴史の終焉”という論考を発表し、共産主義に対する民主主義の勝利を宣言した。

 天安門事件、ベルリンの壁崩壊、ソ連解体。“中国もソ連に続くのではないか”という見立てが国際世論を覆うにつれて、中国共産党指導部は米国の対中“和平演変”政策を極端なまでに警戒するようになり、対米不信を強めていった。和平演変とは、政治、経済、投資、文化、教育などの分野において、平和的手段を通じて社会主義体制を崩壊させ、民主化を促す試みを指す。

 筆者は次のように理解している――中国共産党関係者や、研究機関で対米政策の研究に従事している学者の多くが、現在に至っても、「米国は中国で和平演変を起こそうと工作している」と考えている。自由民主主義を掲げ、それを世界の隅々にまで広めることを至上命題とする米国は、ソ連が崩壊したいま、“残るは中国”という認識の下、中国の和平演変を起こそうと狙っている、と認識しているのだ。この認識が、中国人が対米不信を抱く根源の一つになっている。

 王輯思(Wang Jisi)北京大学国際関係学院教授は、中国を代表する米中関係の専門家だ。同教授は「中国は、自国の国内政治に対するアメリカの政治的浸透力(political penetration)を懸念している」(Debating China-The U.S.-China Relationship in Ten Conversations; Oxford University Press, 2014, P10)と指摘する。

 言うまでもなく、天安門事件によって相手に対する不信感を強めたのは中国側だけではない。中国共産党に対する米国政府・国民の不信感も強まった。米国社会は中国共産党の行為を“自由民主主義に対する挑戦”と受け止めた。

 要するに、米中関係をひもとくと、天安門事件が“米中相互不信”を深刻化させたと評価することができるのだ。

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「もし、中国が天安門事件を“清算”したら?」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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