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タイのクーデターを肯定する罪

政治は「軍」を扱えるのか

2014年6月9日(月)

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 タイ全土は今、軍政下に置かれている。

 政府を支持する「タクシン派」と「反政府派」の対立が激化する中で、5月20日、軍司令部はタイ全土を戒厳令下に置いた。タクシン派と反政府派双方の代表に出頭を命じ、また海外に亡命しているタクシン・シナワット元首相にも連絡を取って政治的な妥協を求めたが、交渉がまとまらずに22日にクーデターを宣言した。

 いつか来た道、どころの騒ぎではない。タイが立憲君主制に移行してからこれで軍事クーデターは19回目。5年に一度以上の頻度でクーデターが発生しているという計算になる。

無限ループ生む「金槌」

 今後、タイの政治はどう動くだろう。

 タイ軍部は、一般にタクシン派より反政府派と利害が近い。喧嘩両成敗のように振る舞うが、結局のところ、軍部はタクシン派を政権内から一掃し、その後に「タクシン派抜きの政権」を樹立させて民政を復活させることになるだろう。

 だが、タクシン派は選挙に強い。誤解を恐れずにざっくりと整理すれば、カネはあるが頭数は少ない都市生活者が「反政府派」であり、頭数は多いが貧しい地方生活者・地方出身者が「タクシン派」である、と整理できる。頭数の多さが決する民主主義の原則から言えばタクシン派が強い。が、既得権益は反政府派に偏っている。軍上層部は既得権益者層に近い。

 だから、正しく選挙が実施されればタクシン派が勝利し、軍が後押しした反タクシン政権は敗北する。タクシン派が再び政権を掌握する可能性が高い。

 これに不満を抱く反政府派がタクシン派政権打倒を目指し、「選挙」では勝てないため、デモや選挙妨害などの手段を取る。再び政治は膠着する。両派の対立が激化したところで軍が登場し「喧嘩両成敗だ」と軍政を敷く。また振り出しに戻る、というわけだ。

 以上は単なる筆者の夢想ではない。軍主流派がタクシン元首相を政治的に葬り去った2006年クーデターから今回のクーデターまでに起こったことはまさにこれだ。クーデターは政治的膠着を打破するために有用な金槌だという「タイ政治評論家」もおられるが、この「無限ループ」を引き起こす道具のどこが有用なのか筆者にはまるで理解できない。

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「タイのクーデターを肯定する罪」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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