スノーピークの本社は驚くことに、広大なキャンプ場の中にある。豊かな自然の下、開発からものづくり、販売まですべての部門がそろう。ユニークさは際立っており、アップルも見学に訪れた。
ユーザーに楽しい時間をすごしてもらう製品を作る以上、手がける社員が心地よく働く環境が必要だ――。山井社長はこう考える。ときには山井社長も社員も仕事が終わるとそのままキャンプし、翌朝テントから出社する。大都市では考えられないワークスタイルを実現している。

スノーピークで働くことの意味を知ってもらうには、新潟・燕三条にある本社を訪問してもらうのが一番分かりやすいだろう。
JR上越新幹線の燕三条駅から自動車で約30分の場所にあり、周囲は自然のあふれる小高い丘陵地帯だ。もともと牧場のために開かれたところであり、広さは約5万坪ある。ユーザーに見学していただくため、オフィス内を1周する見学ルートも設けている。少し遠出になるかもしれないが、機会があったらぜひ一度訪問してほしい。
スノーピークでは本社施設のことを「ヘッドクォーターズ」と名づけている。この地に本社を構えたのは2011年のことだ。それまでは市街地にあった。しかし、「自然指向のライフスタイルを提案し実現する」というミッション・ステートメントに向かって進み続けるために、思い切って移転を決めた。
本社の目の前は「キャンプフィールド」となっている。もっと正確に言うと、5万坪のキャンプ場の中に1600坪の本社施設がある。直営のキャンプ施設で春から秋は緑一面となり、冬は雪で覆われ真っ白な世界になる。季節を問わず天気のいい日には周囲の山々を望むことができる。1年を通して自然を楽しみ、自然から学ぶイベントを開いていて、多くのユーザーが集まってくる。

本社も人のまねはしない
私や社員もキャンプフィールドで頻繁にテントを張り、アウトドアライフを楽しんでいる。スノーピークで働く人にとって、アウトドアはそれだけ身近なものであり、日常の延長線上にある。
社屋は地上2階地下1階だが、斜面に建っているため、角度によっては3階建てに見えるユニークな構造だ。自然と調和する近代的なフォルムが特徴であり、「それまで見たことのないオフィス、こんなオフィスがあったらいいというものにしよう」と考えた結果、今の形になった。スノーピークは製品開発で競合のまねは絶対にしないが、本社の建物においても、徹底的にオリジナルであることにこだわった。
私は50才のITエンジニアです。今すぐにでもこの会社へ転職したいと思いました。好きなことだけを仕事にするというのは、言うは易く行うは難しですが、それも実践しなければ近づくことすら出来ませんよね。スノーピークの製品はいくつか持ってますが、こんな会社だったとは驚きです。ファンになりました。(2014/06/17)