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何も知らない「にいちゃん」が大企業を信用させた

パソコンリサイクル業ブロードリンク榊彰一社長のめげない商才

2014年6月23日(月)

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集められた中古パソコン(千葉県船橋市の東日本テクニカルセンター)

 榊彰一(さかき・しょういち)、43歳。中古パソコンを企業などから買い取って再生して販売するブロードリンク(本社・東京)を経営する創業社長である。脱サラして会社を作り、14年あまりで、データ漏えいの不安から信用が厳しく問われるパソコンのリサイクル業で大手にのし上がった。

 200人あまりの従業員を抱え、2013年12月期決算では、約70万台の中古機を扱って、売上高は前期比約15%増の約29億5000万円を計上した。今年はパソコンの基本ソフトWindowsXPに修正ソフトを配る技術サポートを、発売元のマイクロソフトが4月で打ち切ったため、パソコンの更新が進んでいる。このため中古パソコンが大量に発生しており、ブロードリンクが今年扱う台数は「たぶん100万台になるかな」と榊は見込む。

 「今12月期の売上高は、ブロードリンク単体で42億~43億円くらいになり、関連会社も含めれば50億円程度に増える。前期と比べて1.4~1.5倍に成長するのでは」と景気がよい。XPのサポート終了による特需が追い風だが、榊は「それだけではなくて、うちはスピードアップ戦略を取っていますからね。組織固めが終わったので、これから掛け算で伸ばして行きたい」と言う。

中古パソコンを催事場での販売からスタート

 成長戦略については後であらためて触れるとして、榊はなぜパソコンの買い取り、販売で地歩を築けたのだろうか。そもそもなぜサラリーマンを辞めて起業したのか。独立独歩で成功するには、いくつか条件がある。当然のことながら、商才が要る。それに何でもまずやってみる腰の軽さと、困難に遭ってもくじけないタフな精神力が欠かせない。これにプラスして運があれば言うことなしだ。

フロードリンクの榊彰一社長

 榊は43歳にしては見た目が若く、一見していかにもニュービジネスの若手経営者という印象である。中古パソコンを売却処分する企業や官庁にとっては、引き取り先がデータを完全に消去する技術ときちんとした管理能力を備えているかどうかが最も気になる。その信頼を実績のない若い企業が勝ち取るのは簡単とは思えない。

 榊は会社を作って3年目に、中古パソコンをあちこちから仕入れて、スーパーや百貨店の催事場で販売する事業を本格的に始めた。これで上昇軌道に乗った。しかしすぐに新品パソコンの急速な値下がりに、どう対応するかという問題に直面する。決め手は仕入れコストの引き下げである。企業や官庁がシステムの切り替えのたびに廃棄する大量のパソコンを直接買い取ればよい。思い立ったが吉日である。

「看板にNTTとついているから大手だろうと思った」

 「古いパソコンを廃棄するのにおカネを払う必要はありません。当社が買いますから、その方がお得ですよ」。榊は早速、大手企業などに営業に回った。しかし相手はすぐには乗って来ない。「うちはそんなカネで少しくらい得をしてもデータが流出したら元も子もない。にいちゃんのところはデータを消せるのかい」と尋ねられた。

 「大丈夫ですよ。デスクトップの『ゴミ箱』にデータを集めて、空っぽにすればよいのでしょう」。相手のあきれ顔が目に浮かぶようだ。「何を言ってるんだい。『ゴミ箱』を空にしても、データはパソコンの中に残っているんだよ」。「えーっ。本当ですか。詳しく教えてください」

 何もわかっていなかったのだ。榊はこの程度のことではめげない。「人間はおぎゃあと生まれた時は何も知らないでしょう。言われたことを、すべて真摯に受けとめて、やりました」。相手はNTTリース(現NTTファイナンス)である。「パソコンをリースしている会社から開拓しようと決めて、たぶん看板にNTTとついているから大手だろうと思って当たったのです」

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「何も知らない「にいちゃん」が大企業を信用させた」の著者

森 一夫

森 一夫(もり・かずお)

ジャーナリスト

1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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