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ホワイトは機内に持ち込めますか

2014年6月18日(水)

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「ワールドカップ関連の取材で10日間ほどブラジルに行ってきます」

 そう伝えると、各誌担当編者は当然のごとく「こやつは何をいい出すのだ」という顔をした。

 いや、やりとりはメールや電話で行っているので相手の顔など見えはしない。見えはしないが、私にはありありと彼らの顔から血の気が引いていくのが見えた。

 言い出す前から。

 客観的に見て、現在の私はマンガ家としては、そうたいして忙しくないほうだと思っている(週刊連載マンガをやっている人の忙しさというのは本当に尋常でないのを知っているからだ)。それでもこの毎週のコラムと月刊のマンガと、それからマンガではないが日刊の新聞小説の挿絵の仕事というのを抱えていて、時間に余裕があるとも言いがたい状況だ。

 なにしろ、日本に居てすら、しばしば入稿が遅れがちなのである。そんな信用ゼロの不届き者が1行目のような言葉を発したら、私が編集者でも「お前いいかげんにせーよ」といいたくなるだろう。

 しかし、もはや時すでに遅し(使い方をまちがっています)。
 私は「ヤマザキマリ+とり・みき(以下とりマリ)のコンビが、W杯開催中のブラジルから、現地の状況を写真やイラストで報告する」という某社の仕事を請け負ってしまっていた。

 このとりマリのコンビは、現在、別の出版社で合作マンガを連載しており、ヤマザキさんがブラジル通でポルトガル語も堪能なことに加え、私が少しばかりサッカーファン歴が長いこともあって、いわば合作のスピンアウト的に出た企画だ。

 もっとも、ヤマザキさんには代わりの人材がいないのは確かだが、サッカー好きのマンガ家なんてのは履いて腐るほどいるだろうから、私のほうはまあ分際に過ぎた企画というか、おこがましいことこの上ない。

 この上ないが申しわけない。色々言いわけをいってもはじまらない。結局のところ私はもろもろの誘惑に負け、しかしその代償として、滞在期間中だけではなくその前後も自分の首を絞めることになるであろうこの仕事を引き受けた。無謀な判断だ。これもすべては飛田給に吹き荒れる青赤のエルシクロンに巻き込まれた因果だ。

 ここでクラブサポと代表ファンとの関係についてあれこれ述べるような危険な真似はしない。(このコラムを読んでいただいている読者の方ならおわかりの通り)往々にして物事をまっすぐに見ないで理屈をこねまわしすぎる傾向のある私だが、ことフットボールに関しては「馬鹿のように観たい」というのがモットーだからだ。

 サッカー評というのは、薀蓄や戦術分析や比較文化論など、さまざまな構成要素が、ときには試合そのものを離れたレトリックの遊びをするのに非常に適しており、商業媒体にもWEB上のブログにも、その種のスタイリッシュな文章が百家争鳴状態で並んでいる。かくいう私もその罠に容易に陥りやすい性格かつ文体であることは、誰よりも自分がいちばんよくわかっている。

コメント8

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「ホワイトは機内に持ち込めますか」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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