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ハーバード大学で“箔を付ける”中国人学生たち

エリートの再生産と反目

2014年6月19日(木)

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 2013年9月、筆者がハーバード大学に来て1年が経った頃、仲良くしていた中国人留学生Bさんにメールを送った。「久しぶりに食事でもしながらディスカッションしようか?」。

 食事というのは表向きの理由で、父親が中国人民解放軍の幹部を務めるBさんと最新の中国政治情勢について意見交換がしたかった。明るく活発で、パブリックマインドを強く持つ彼女とは、毎回お互い真剣に意見交換ができた。筆者が英フィナンシャル・タイムズ中国語版に連載するコラムを彼女が以前から読んでくれていたことも、お互いの理解を助けた。

 ところが、である。いつも返信の早い彼女から一向にメールが返ってこない。「おかしいな、何かあったのかな?」。不思議に思い、ハーバード大学内で中国人留学生の動向に精通する知り合いに尋ねてみると、「私も連絡が取れないんだよ。急にいなくなってしまったんだよね。恐らく帰国せざるを得なかったんでしょう」との答えが返ってきた。

 中国には“太子党(Princelings)”というサークルがある。国家指導者、あるいは共産党の高級官僚の子弟たちを指す。例えば、習近平現国家主席と、薄煕来重慶市共産党委員会元書記は典型的な太子党のメンバーだ。両氏の父親である習仲勲と薄一波はともに、かつて国務院副総理を務めた。同じく国務院副総理を務めた姚依林を岳父に持つ王岐山中央規律検査委員会書記も同様だ。

 筆者と同世代で言えば、薄煕来の息子で、2012年5月にハーバード大学ケネディースクールを卒業した薄瓜瓜(1987年生まれ、現コロンビア大学法科大学院生、以下“瓜瓜”)が典型的な太子党メンバーに相当する。2012年3月、いわゆる“薄煕来事件”が起きた。薄煕来は汚職や腐敗、妻によるイギリス人ビジネスマン殺人事件に関わった疑いで重慶市党委書記を解任され、失脚した。息子の瓜瓜も、薄一家の海外における資産管理に関わっていたとされて、厳しい立場に置かれた。英国や米国での派手で贅沢な生活ぶりにも批判が集まった。

 ハーバード大学で学ぶ中国人留学生の間でも「薄煕来の失脚と同時に、瓜瓜のキャリアも前途多難となった。政治に関わるのは無理だろう」という見方が広まった。瓜瓜は中学卒業後に渡英し、高校・大学生活を英国で過ごした。だが、海外生活が長い割には、西側の自由民主主義に“染まる”こともなく、むしろ、儒教など中国の伝統文化を尊重する発言を随所でしていたようだ。

 瓜瓜のハーバード大学時代を知る複数の中国人留学生が筆者にこう語った。「瓜瓜は将来的に中国に戻って政治に挑戦しようとしていた」。

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「ハーバード大学で“箔を付ける”中国人学生たち」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官