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学会で発表するホンダ、メモを取るサムスン

技術発信を何のためと捉えるのか?

2014年6月26日(木)

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 企業における研究開発の目標は実用化、すなわち新事業を発掘したり既存事業への価値を提供したりするアウトプットである。研究開発も基礎研究、応用研究、開発研究の3種類に分けて考えれば、実用化の打率は上流側の基礎研究に向かうほど低くなる。

 しかし基礎研究は、その成果が大きな変革をもたらす可能性がある。3種類のそれぞれの研究開発にかける資源配分のバランスをどうとるか、それこそが技術経営の手腕が問われるところである。

 そして研究開発の中間段階においては、どこまで知財権を取得できるか、加えてどこまで対外的に発信していくかのマネジメントも重要である。知財権の確保は大きな武器となるのはもちろんであるが、併せてそれと連動した技術発信もまた同様に重要である。

 技術発信が大切な理由は、そのコンテンツが業界の主導権を握ることにつながる可能性があるからだ。逆に発信力が乏しければ、国際標準や業界標準などにおいて主導権を握れないことになる。今回は、この技術発信に焦点を絞って、ホンダとサムスンを比較してみたい。

発信力で業界のイニシアティブを取る

 まずホンダが技術発信を積極的に行った例を挙げよう。その1つが、米国の排ガス規制に関するマスキー法を、1975年に世界に先駆けていち早くクリアしたCVCCエンジンだ。同エンジンの開発を陣頭指揮した故・八木静夫氏(元本田技研工業特別顧問)の貢献は大きい。

 研究開発の過程で成果を出すと共に対外的な学術発信も行い、基礎研究に裏付けされたCVCCエンジンの存在感を強固なものにしていった。さらに、八木氏は学術成果の集大成として東京大学から工学博士号を授与されている。同氏と筆者とは親子ほど年齢差があったが、筆者の良き理解者としてお付き合いさせていただいた。

 同様な進め方は1987年代に実用化された4輪操舵(4WS)システムにも当てはまる。基礎研究からスタートしたこの技術をリードしたのが、元本田技術研究所Executive Chief Engineerの佐野彰一氏だ。世界で初めて実用化したとして米国SAE(自動車技術会)を始め国内外の学会から数多くの賞を受賞した。当然ながら多くの知財権も確立し、対外的な発信も精力的に展開した。

 今でも鮮明に覚えているのが佐野氏の哲学だ。それは「実用化までの途中段階でも、技術開発の成果を戦略的に発信していくことの意義は、その分野での業界でのイニシアティブを取ること」である。

 ホンダのナビゲーション・システムも同様で、基礎研究からスタートし、そして技術発信を行った。1982年、第1世代を発表し、アコードのオプションとして登場させた。この技術をリードしたのが元本田技術研究所Executive Chief Engineerの高橋常夫氏(現在、エヌエフ回路設計ブロック社長)だ。

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人材を育てるホンダ 競わせるサムスン

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

コメント9

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「学会で発表するホンダ、メモを取るサムスン」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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