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第3回 広告から透けるアップルに欠けているもの

シンク・ディファレント誕生と今の違い

2014年7月2日(水)

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 ジョブズ亡きあと、アップルをとりまく環境は大きく変わった。以前と違って画期的でイノベーティブな製品が生まれないこと、Android陣営との知財・特許をめぐる訴訟合戦など数々あり、本連載の著者であるケイン岩谷ゆかり氏が『沈みゆく帝国』で詳しく記している。今回は、伝説的なアップルの広告「シンク・ディファレント」キャンペーンの誕生秘話とともに、現在のアップルの広告との違いを分析。今のアップルに欠けているものを解説する。

 アップルが1997年から展開した「シンク・ディファレント」(Think Different)キャンペーンは、伝説と言えるほど評価が高い。

シンク・ディファレントの広告
クレイジーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。彼らの言葉に心を打たれる人がいる。反対する人も、称賛する人もけなす人もいる。しかし、彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレイジーと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。

(写真提供:Gilles Mingasson /Hulton Archive/Getty Images)

 この広告が登場したころ、アップルは、倒産の瀬戸際にあった。スティーブ・ジョブズは復帰したばかりで、とにかく、時間を必要としていた。リストラの時間が必要だった。製品ラインを整備しなおす時間が必要だった。だが、ジョブズが一番必要としていたのは、アップルはめちゃくちゃすごいなにかを提供してくれるとファンに信じつづけてもらうことだった。アップルはiMacでテクノロジーのイノベーターという評価を取りもどすが、それは1年もあとのことなのだ。

 「クレイジーな人たちへ」と呼ばれるこのマニフェストは、世界を変えたいと思う人たちのために製品を作っているという会社としての哲学と誓約をきっぱりと伝えるものだった。そして、アップル再生に必要な時間をジョブズに与えてくれるものとなった。

 「シンク・ディファレント」キャンペーンが誕生した経緯を見ると、思わず元気にもなるし、いろいろと勉強にもなる。もちろん、運がよかったという面もあるし、優れた人材がいたのもたしかだ。だが同時に、最高の力を引きだす手腕がジョブズにあったこと、また、すべきことを直感的に知る力がジョブズにあったこともわかる。いま、ジョブズがいなくなったアップルに欠けているものはなんなのか、「シンク・ディファレント」の秘話から、ある程度わかるのだ。

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「第3回 広告から透けるアップルに欠けているもの」の著者

岩谷ゆかり

岩谷ゆかり(けいん・いわたに・ゆかり)

ジャーナリスト

東京生まれ。ジョージタウン大学外交学部卒業。2006年にウォール・ストリート・ジャーナルへ転職し、東京特派員を経てサンフランシスコでアップル担当として活躍。ジョブズの肝臓移植など数々のスクープで有名。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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