6月23日、2014年度の国家公務員「総合職試験」の合格者1918人が人事院から発表された。総合職試験というのは、キャリア組と呼ばれる国家公務員幹部コースの採用試験のことである。1984年度までは「上級(甲種)試験」、1985年度から2011年度までは「Ⅰ種試験」という名称だった。
2012年度に国家公務員試験体系の抜本的な見直しが行われ、「Ⅰ種試験」「Ⅱ種試験」「Ⅲ種試験」などが廃止されて、「総合職試験」「一般職試験」などに再編された。人事院によると、総合職試験は「主として政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員の採用試験」である。
14年度の特徴は、女性の合格者数が399人(前年度比+57人)となり、前年度に続いて過去最多を更新したこと。合格者に占める女性の割合は20.8%で、こちらは過去2番目の数字だった。
民間より女性の活躍の場が多そうな期待感
筆者は国家公務員キャリア組の採用試験について、その申込者数の増減を、景気動向を示す身近でわかりやすい指標の1つとして、以前からウォッチしている<図>。
景気が良ければ、民間企業が新卒者の採用枠を拡大するなどして積極的に採用活動を展開するため、あえて難しい試験を受けて国家公務員になろうという意欲は、大学生や大学院生の側では薄れがちとなる。実際に筆者も経験したが、試験勉強にはそれなりの時間や努力が必要だ。
一方、景気が悪いということで企業が新卒者の採用枠を絞り込み、学生にとって「就職難」の状況になると、試験勉強という自助努力次第で道が開ける国家公務員の魅力が相対的に増して、申込者数が増えやすくなる。
ただし、そうした景気循環的な要素以外に、構造的な変化のようなものも、キャリア組採用試験の申込者数の多寡に影響していると考えられる。
まず、世論の強い批判を浴びて、いわゆる「天下り」がだんだん難しくなってきたため、生涯所得で考えた場合、キャリア組国家公務員という職業の金銭面での魅力が以前に比べてかなり薄れたという事実がある。このことは、試験の申込者数を減少させる方向に作用する。
その一方で、有能で意欲のある女性が活躍する機会が、中央省庁では民間企業よりも数多く提供されそうだとの期待感から、本気で合格を目指す女性の申し込みが増えやすくなっている面があるだろう。
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