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あなたの競争相手は誰ですか?

2014年7月3日(木)

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 皆さん、こんにちは。エバ・チェンです。

 前回のブログ記事では、バルセロナで開催された「Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス)」で感じたことをお話ししました。今回は、その会場に向かう飛行機の機内で考えた、セキュリティービジネスにおける「競争相手は誰か」ということについてお話しします。

 以前も触れましたが、私の日常は長距離移動が多く、長時間を過ごす飛行機の機内ではリラックスするために映画を観ることがあります。今回の移動中には、私が好きな映画の一つである「ビューティフル・マインド」を観ました。ノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュの、幻覚症状と戦う生涯の実話に基づいた映画です。これまでに何度も繰り返し観ている映画ですが、毎回、新たな発見があります。

 今回は、ノーベル賞受賞の理由にもなった「ナッシュ均衡」のストーリーが特に印象に残りました。映画の中では、ナッシュ均衡がマルクスの資本主義論を覆し、“競争”に対して新たな解釈を行ったということについて触れられています。

 私は数学者でも経済学者でもありません。ですが、一人の経営者として常に“真の競争相手は誰か”ということを忘れないようにしています。ナッシュが唱えた「協力して全体の利益を最大化させる」ことは、クラウドコンピューティングや情報セキュリティー業界において、常々私が思っていたことに当てはまるからです。

 資本論では、全世界の一人ひとりが皆“自分自身”の最高の利益を追求すれば、競争原理により世界は進歩し、全体利益も最大化されると信じられてきました。一方、ナッシュの主張では、利益とは多面的なもので、一つの側面でのみ勝ち負けを論じることはできないとされています。全体としてより大きな利益を得るためには、個人の利益を犠牲にしなければならない場合が出てくるのです。

 このナッシュ均衡の考え方は、交渉の手法や独占禁止法においても広く活用されています。情報セキュリティーの分野においても、自分の企業の利益を追求するのではなく、本当の競争相手をしっかりと見極めないと、“情報を安全に交換するという”という共通の目的を達成することはできません。情報セキュリティー業界において、私たちの競争相手はほかでもない“サイバー犯罪者”です。他のセキュリティ対策企業が競争相手ではないのです。

 これは、医者が患者を診る際に対峙する相手が“病気”や“けが”そのものであり、他の医者と競い合うことではないのと同じです。もちろん、ビジネスを継続させる上で他社との競争は避けられません。ですが、何のために戦うのかを忘れてしまっていては、競合他社に仮に勝ったところで意味がないのです。

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「あなたの競争相手は誰ですか?」の著者

エバ チェン

エバ チェン(えば・ちぇん)

トレンドマイクロ社長兼CEO

インターネットセキュリティ大手、トレンドマイクロ社長兼CEO(最高経営責任者)。1988年にトレンドマイクロを共同創業。2005年に社長に就任。趣味は絵を描くことと、フェンシング。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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