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少子化議論の鍵を握る「結婚」

改めて考える人口問題(5)

2014年7月9日(水)

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 人口問題の源泉をどんどん遡っていくと、結局のところ「出生率」にたどり着く。「人口減少」がもたらされるのは、出生率が下がって新しく生まれる子供の数が減り、それが死亡者の数より少なくなるからだ。「高齢化」が進むのは、高齢者の数が増えるからではなく、出生率の低下によって若年層の数が相対的に減るからだ。そして私が常に強調している「人口オーナス(人口に占める生産年齢人口の比率が下がる現象)」も、出生率が下がって新たに生産年齢人口に入っていく人の数が減ることが原因だ。要するに、人口問題のすべての原因は出生率の低下にあるのだ。

 日本の合計特殊出生率(以下、単に出生率)は、1947年には4.54だったのだが、その後下がり続け、最新の2013年では1.43である。ここ数年やや上向いてはいるものの、まだ十分低い状態である。

日本の出生率はなぜ低いのか

 ではなぜ日本の出生率は低いのか。この点について、私は次のように考えてきた(詳しくは、小峰隆夫『人口負荷社会』第3章「日本の少子化の原因を考える」を参照)。

 第1の原因は所得水準の高まりだ。我々は、子供を持つことのコストとメリットを比較衡量して子供の数を決めている(それが経済学者の発想だ)。所得水準が高まると、子供の教育コストが高まり、女性が子育てをする機会費用が高まる。所得の上昇とともに高い教育水準を提供しようとするし、女性も男性と同じように働くようになると、働くのをやめて育児に専念することによって失われる所得が増えるからだ。

 第2の原因は、日本型雇用慣行の存在だ。日本型の長期雇用・年功賃金・企業内教育訓練の下では、いったん退職してしまうと元に戻ることが難しくなる。長時間労働になりがちなので男性の家事・育児参加も進みにくい。これが女性の子育ての機会費用をさらに大きくするのだ。

 日本の従来型の雇用慣行は、特定の仕事を固定してキャリアが形成される「ジョブ型」ではなく、特定の企業を固定して、仕事の内容が変動するという「メンバーシップ型」としての色彩が強い(このジョブ型、メンバーシップ型という概念は、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏によるもの)。

 このメンバーシップ型の雇用慣行が男女共同参画の流れと不整合を起こしており、それが出生率の低下という副作用を生んでいるのだと考えられる(詳しくは、本連載「人口オーナスへの対応を阻む長期雇用、年功賃金」2012年11月14日を参照)。

 この2つが日本の低出生率の原因だとすると、少子化対策の決め手は、働き方の構造改革を進めて、従来型の雇用慣行をジョブ型に変えていくことと、女性が就業と子育てを両立できるような環境を整備すること、すなわちワークライフバランス政策を推進することの2つだということになる。

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「少子化議論の鍵を握る「結婚」」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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