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失われた「間」を取り戻せ

観察力と想像力がチャンスを生む

  • 井坂 智博

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2014年7月15日(火)

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 企業からの相談で、「誰もが使える」「皆が喜ぶ」「多様性」「持続可能な」などといった言葉が最近、増えている。

 なぜだろうと考えてみると、「間(ま)」に行き着く。

 前回も登場した東北大学の石田秀輝・名誉教授は、「間抜けの研究」と題して、国内外を駆け回っている。

 心豊かに暮らすためには、快適性や利便性のみを追及する「依存型」から、ある程度の不便さや不自由さを受け入れる「自立型」へのライフスタイルの移行が必要だと石田氏は説く。今の多くの技術やサービスは利便性を作り出すためのものがほとんどで、自立型というと自給自足のような極端なものになってしまう。

 しかし本当は、依存と自立に明確な境界線はなく、次第に変化しているのが実態だ。石田氏はこのグラデーションのような幅を「間」と呼んでいる。

 どこまでサービスをして、どこからはお客の自主性に委ねるか。ビジネスにおいては「間」を意識することがチャンスにつながるし、「間」が抜けていればロスにもなりかねない。消費者ニーズが多様化した昨今では、商品開発にせよ、接客にせよ、「間」はお客個人や状況によって異なり、マニュアルで一律に対処できるものではない。

 「間」を読む力を鍛えるには、まず日常をよく観察することだ。そのときには想像力を働かせること。最近、私の周りで起こった事例を紹介しよう。

髙島屋のスタッフに見た「間」

 名古屋市でリードユーザー(編注:ある市場で大多数のユーザーに先行している人たちのこと。本稿では障がい者を意味する。こちらも併せてご参照ください。)とともにワークショップを終え、名古屋駅まで来たとき、そのうちの1人から「髙島屋のインフォメーションに連れて行ってください」と頼まれた。彼女は視覚障がい者で、全く目が見えない。普段は1人で杖を頼りに歩いているが、「今日に限ってどうしたんだろう」と思って理由を聞いてみた。

 「髙島屋のインフォメーションまで行き、地下の惣菜売り場で買い物をしたいと告げると案内をしてくれる」とのことだった。とはいえ、ここまでは普通の対応だろう。コンビニエンスストアでも視覚障がい者が1人で店に入ると「いらっしゃいませ。何になさいますか」と案内してくれる。

 私が驚いたのはこの先だ。

 惣菜を買って帰ろうとすると、普通は店の出口まで案内してくれる。しかし、髙島屋の制服におしゃれな帽子をかぶったインフォメーション担当の女性は、リードユーザーを案内しながら店の外に出てきた。そして店から離れたバス停まで送った。リードユーザーは名古屋駅前から出るバスに乗って帰るのだ。

 そのインフォメーションの女性に「とてもうれしいサービスですね。きっと素晴らしいサービスの先生がいらっしゃるのでしょう」と声を掛けた。

 彼女は「いいえ、私の判断で来たのです」と言った。そして、「私がお客様の立場だったら困るでしょうから、少し手を貸しただけです」と気さくに答えた。

 つまり彼女は、接客マニュアルや研修で教えられたわけではなく、相手の状況を自分のことのように捉えて行動したわけだ。

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