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ESPフォーキャストはアベノミクスをどう見ていたか

2014年7月23日(水)

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 今回はややテーマを変えて、ESPフォーキャスト調査をもとに、アベノミクスについて、さらにこれからの経済について考えてみたい。

ESPフォーキャストとは

 ESPフォーキャスト調査については、本連載でも何度か取り上げたことがあるので、若干重複するが、最初に、ESPフォーキャスト調査とは何かということについて説明しておこう。

 ESPフォーキャスト調査は、毎月、第一線で活躍している40人前後のエコノミストに景気の将来予想をアンケート調査し、その平均値(コンセンサス)を公表するものである。調査結果の概要は日本経済研究センターのホームページで公開されている(こちらです)。

 この調査は、内閣府のK課長(当時)のアイデアから始まった。K課長は米国で経済分析の仕事をした後、内閣府に戻ったのだが、「日本にも『ブルーチップ』のような調査があればいいのに」と考えた。「ブルーチップ」というのは、米国で行われている調査で、民間エコノミスト約60人に景気指標の予測値をアンケート調査し、その平均値を公表するものである。

 K課長が幸運だったのは(または日本の経済分析にとって幸運だったのは)、自身が着任した課が、内閣府の外郭団体を所管するセクションだったことだ。K課長は、内閣府の外郭団体だった経済企画協会に、米国のブルーチップのような調査を実施できないかと提案した。その結果始まったのが、ESPフォーキャスト調査である。1人の課長のアイデアと熱意がこの重要な調査を誕生させたことになる。経済企画協会は、専門家を集めて、この調査の設計や運営、評価などを議論する委員会を設置することとし、私にその委員長になるよう依頼してきた。こうして私がこの調査に関わるようになったのである。

 2004年5月、内閣府の記者クラブで第1回の調査結果が発表された。この時は、私が出席してこの調査について説明したのだが、私はその狙いとして次の3点を挙げた。

 第1は、言うまでもなく民間の景気予測についての継続的な調査を公共財としての統計として公表することである。

 第2は、景気予測の判断基準を政府から民間に移すことである。それまでは、景気の状態を判断する基準は政府の見通しである場合が多く、成長率が政府見通しを上回ると「期待以上に景気が良い」、逆に見通しを下回ると「思ったよりも景気が悪い」と判断する傾向があった。しかし、政府の方が民間より多くの情報を持っていたり、政府のエコノミストの方が民間のエコノストよりも分析力が高かったりするわけでもないのだから、むしろ民間の予測を判断基準とすべきだと考えたのだ。

 第3は、予測形成のメカニズムを解明することだ。予測データを分析することにより、民間予測にはどのような傾向があるのかについて、いろいろな仮説を立て、それを検証できるようになると期待したのである。

 この調査は2004年5月にスタートして以来、順調に定着し、政府の閣僚会議や日銀の情勢判断資料などにも定期的に登場するまでになった。しかし、残念ながら調査を実施してきた経済企画協会は、財政難から2012年3月に解散することになった。協会の関係者は、自身の解散はやむを得ないとしても、今や公共財として定着したESPフォーキャスト調査だけは何とかが残せないかと考え、受け入れ先を探した。その結果、日本経済研究センターがこれをそのまま引き継ぐことになり、今日に至ったわけだ。私はこの全期間にわたってこの調査に関係してきたので、こうした波乱の時代に起きた多くのドラマを実見し、感慨深いものがあるのだが、本誌の読者はあまり興味はないだろうから、ここではこれ以上は述べない。

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「ESPフォーキャストはアベノミクスをどう見ていたか」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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