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韓国船沈没事件、故人のデータで国家と戦う

セウォル号遺族取材から見えたもの

2014年7月30日(水)

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 「街が泣いているようですね」。

 7月3日の夕刻、同行していた通訳の女性は第一声、こう漏らした。ともに降り立ったのは韓国安山(アンサン)市。ソウル特別市から南西に30kmほどのところにある。人口は76万人ほど。1980年代から工業都市として栄えてきた都市だ。その日は小雨が降っていたからかもしれないが、確かに街全体が沈んで見えた。

 約3カ月前の4月16日、この安山市にある安山壇園高校の生徒たちは旅客船セウォル号の沈没事故に巻き込まれた。乗員乗客294人が死亡、今もなお10人が行方不明となっている。修学旅行で済州島に向かっていた生徒は325人。うち250人もの高校生が犠牲となった。

 この日、記者は犠牲者家族の取材でこの地を訪れた。最初に訪れたのは事故でチェ・ソンホくん(16歳)を亡くしたオ・ソヨンさん(39歳)の家だった。

 家に入るなり、オさんはチゲ鍋を用意して迎えてくれた。聞くと、夫が単身赴任のため、いつも息子と2人でご飯を食べていたが、今はひとり。久しぶりに大人数で鍋をつつくのが嬉しそうだった。食事をご馳走になった後、チェくんの部屋に移動した。

セウォル号沈没事故でソンホくんを亡くしたオ・ソヨンさん

 ごくありふれた高校生の部屋だ。本棚には『名探偵コナン』の漫画が並び、日本語の教科書もある。机にはパソコンがあり、目の前の窓には「携帯電話とパソコンの奴隷にはならない」と両親と約束した手書きの誓約書が貼られていた。

 オさんはこの部屋で、ソンホくんがどのような子だったか、時間をかけて振り返ってくれた。ソンホくんは、小学校のころから数多くの賞状をもらう優秀な男の子だった。スピーチ競技大会で優勝するほど、英語が得意。欠席も遅刻もない、皆勤賞をもらうまじめな少年だった。小さい頃から作家になる夢を抱き、手書きの詩が残されていた。高校に入ってからは心理学の勉強をしたいと大学への進学を希望していたという。

 一方、コスプレのイベントに参加するなどお茶目な面も持ち合わせていた。ソンホくんは有名な清涼飲料水のパッケージを模した着ぐるみを着るのが大好きで、いつもオさんが一緒に手伝って手作りしていた。ソンホくんにはそのイベントで知り合った女の子と交際していた。

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「韓国船沈没事件、故人のデータで国家と戦う」の著者

原 隆

原 隆(はら・たかし)

日経コンピュータ記者

宮崎県出身。お酒が好きです。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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