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習近平の途上国援助政策~オバマ政権が死に体のイマこそチャンス

中国の政府開発援助をレビューする

2014年7月31日(木)

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 現在、北京の片隅で本原稿を執筆している。窓の外は霞んでいる。今日もスモッグだ。昨日の夕方はお日さまが出ていて、視界もクリアーだった。だが、ランニングから帰るなり、咳き込んでしまい、肺の奥をえぐられるような感覚に襲われた。

 そんな環境でも、日々の生活に集中している北京市民を逞しく思いながら、「この国はどこへ向かおうとしているのか? 蓄えたあらゆる資源を何に投入しようとしているのか?」という問いに頭を巡らした。

 7月28日 、安倍晋三首相はトリニダード・トバゴで開催された「カリブ共同体」との首脳会合で、新たな財政支援方針を表明した。「1人当たりの所得水準とは異なる観点からの支援が重要だ」とし、これまでの政府開発援助(ODA)の枠組みを超えた、より柔軟な対外援助を実施していく意思を国際社会に向けて発信した。

 安倍首相自身が行ったこの表明を「中国への対抗手段」と見る向きがあるようだ。来年開催される国連安全保障理事会の非常任理事国選挙に向けて、支持してくれる国を今のうちから増やしておきたいという狙いもささやかれる。

 実際に、中国の政策立案者や有識者たちには、安倍首相による経済外交を“中国に対する包囲戦”と見る傾向が極めて強い。トリニダード・トバゴでの表明に対しても、「中国への対抗意識が見え見えだ。特に驚かされる動きではないが」(国務院で対外担当部門にいる関係者)という反応であった。

日本から援助を受けつつ、他の途上国に援助

 中国では、習近平国家主席・王岐山中央規律検査委員会書記(共に政治局常務委員)の太子党ツートップが“反腐敗闘争”、及び“贅沢禁止令”を大々的に展開している。閣僚級、省長級の高級官僚が次々に“落馬”しており、その数は2014年に入って20人以上に達した。落馬を恐れる政府の役人たちは、中央・地方を問わず、一種の“事なかれ主義”に陥っている。新しい政策を始めようとしても、ヒトやカネの流れを含めて、反腐敗当局の調査の対象となる。場合によっては「汚職」と判断されてしまうリスクがあるからだ。よって、役人たちは何もしなくなる。役人が何もしなくなれば政策は進まない。李克強首相が提唱する構造改革が役人の怠慢によって進まなくなる懸念もある。

 一方で、習近平・王岐山両氏に近い太子党関係者によれば、「習近平が贅沢を徹底的に禁止しているため、巨額の公費が節約されている。財政は逆に潤っている。この“余ったカネ”をどう使うか、党中央では現在、それなりに真剣に議論されている」。

 この太子党関係者によれば、党指導部が描いている用途は2つある。

 1つは、既に実行されている、中小・零細企業向けの大々的な減税だ。実際に、私の周りにも減税によって企業運営が楽になったと主張する実業家が複数いる。もう1つが対外援助だ。4兆ドルに上る外貨準備と、国際化・市場化・自由化を目指す人民元による対外援助をどう組み合わせていくかも議論しているという。

 対外援助と言えば、日本人は、「日本による対中ODA」を思い浮かべるだろう(2008年に円借款終了)。だが、日本から3兆円以上の援助を受けてきた中国も、実は建国の翌年(1950年)から政府対外援助を実施している。

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「習近平の途上国援助政策~オバマ政権が死に体のイマこそチャンス」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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