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米国はなぜイスラエルを擁護するのか

2014年8月6日(水)

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 7月8日に始まったイスラエルの軍事作戦で、パレスチナ自治区ガザでは民間人を中心に1360人以上が死亡、6500人以上が負傷した。イスラエル側では兵士56人、民間人3人が死亡したとされる(7月31日現在)。米国、エジプト、国連などが一時停戦を提案しているが、実を結ばないままだ。イスラム原理主義組織ハマスは、軍事力に勝るイスラエル軍からの大規模な攻撃に対し徹底抗戦する構えを見せている。戦闘は長期化する様相だ。

 欧州をはじめとする各国で、人道上の立場から「ガザ市民の殺傷やめよ」と叫ぶ反イスラエルのデモが巻き起こっている。だが、米国内ではそうした動きは広がりを見せていない。

 イスラエル軍は30日、国連パレスチナ救済事業機関(UNRWA)が運営する学校に砲弾を撃ち込み、多数の死傷者を出した。同校はガザ北部にあり、パレスチナ人が避難所として使っていた。米国務省も、さすがにこの行為に対しては、「非難」の声明を出した。だが 米メディアは依然としてイスラエルを擁護する論調を続けている。
("Moral clarity in Gaza," Charles Krauthammer, Washington Post, 7/17/2014)
("Zionism and Its Discontents," Roger Cohen, New York Times, 7/29/2014)

米国人にも当てはまる判官贔屓

 米国は、なぜイスラエルの肩を持つのか――。

この疑問を数人の米知識人(いずれもユダヤ系でない米国人)にぶつけてみた。彼らの回答を整理すると――

  1. イスラエル国家建設は、ヒットラーが1933~45年に行ったユダヤ人虐殺に対する「政治モラル上の贖罪的行為」(an act of political morality)だと米国人は考えてきた。
  2. 米国人は伝統的に国際社会における「負け犬」(Underdog)に味方する傾向がある。特に勇気を持って自らを守り、自力で戦う「負け犬」を支持し、応援する傾向がある。10億のアラブ人に周囲を囲まれた人口600万人のイスラエルは伝統的な「負け犬」と言える。
  3. 同様の意味で、相次ぐ中東戦争で、数で勝るアラブ軍を敵に回してイスラエル軍が軍事的勝利を収めたことを、米国人は称賛した。特に1976年、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)とドイツの革命分子によって捕らえられて人質になったイスラエル人たちを救出した行動を高く評価してきた。
  4. 米国のキリスト教徒、特に中西部・南部に多く住むエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義者)は、ユダヤ教徒と同じルーツを共有していると考えている。これは欧州のキリスト教徒とはかなり異なっている。旧約聖書を共通の経典とし、同様の道徳律を持ち、諸問題についても同じ哲学的なアプローチを取ってきている。
  5. イスラエルは米国とは、条約による同盟関係にはないが、中東問題では事実上の同盟国関係にあったし、現在もそうだ。
  6. イスラエルと米国は、政治的、社会的、さらには家族構成で緊密な関係にある。ゴルダ・メイヤー元イスラエル首相は米国育ちだった。ベンヤミン・ネタニヤフ現首相は米国で勉強し、米国で働いたのちにイスラエルに戻っている。現在のロン・ダーマー駐米イスラエル大使は米国生まれ。成人後かなり経ってから米国籍を捨ててイスラエル国籍を取得している。このほか、歴代駐米大使の中には大使になるまで米国との二重国籍を持っていた人物も少なくない。

 こうした例は数限りない。ユダヤ系米国人の中には息子や娘をイスラエルのキブツで働かせたり、イスラエル軍に入隊させたりする者もいるくらいだ。今回のガザ戦闘では少なくとも2人のユダヤ系米国人が戦死している。

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「米国はなぜイスラエルを擁護するのか」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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