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次回消費税率引き上げに「先送り論」

2014年8月19日(火)

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 今年4月に実施された5%から8%への引き上げに続き、2015年10月には10%への消費税率のさらなる引き上げが行われることが、法律で定められている。これをそのまま実行に移すかどうかに関する安倍首相の政治判断は、12月8日公表の7-9月期GDP(国内総生産)2次速報などを踏まえた上で行われるという見通しを、菅官房長官が7月25日の記者会見で示した。

 赤字財政が恒常化する中で名目GDPの200%を大きく超える規模で政府の借金が積み上がったこと、それでも国民が社会保障の大幅切り詰めを選択しようとしないことを考えると、消費税率を一段と引き上げていくことは、政策論としては当然の帰結だろう。

「増税は延期される」と考える理由

 しかし、マーケットに足場を置くエコノミストとして実際の政策運営を予想すると、そうした「べき論」からの結論とは逆に、次の消費税率引き上げは延期される可能性が高いのではないかという話になる。1年延期される場合は、16年10月の税率引き上げに変わる。そうした筆者の見解に沿った報道が最近3つ出てきているので、ここでご紹介したい。

◆「時事深層 POLICY 内閣改造、『過半交代』有力に」
(「日経ビジネス」2014年7月7日号)
「さらに、重要な要素になるのが年末の消費税率の再引き上げ(8→10%)の判断だ。来年10月からの引き上げを実施した後に衆院選となれば『2度の消費税アップ後に審判を受ける厳しい選挙戦になる』(自民幹部)。安倍首相周辺では次期衆院選と参院選を実施するまで消費税率の引き上げ時期を先送りするか、予定通り引き上げを決めたうえで、来春の統一地方選に合わせて衆院選に踏み切る構想も浮上している」

◆「〔政界・深層海流〕軽減税率、風前のともしびだが『秘策』も」
(7月17日 時事通信)
「だからといって、軽減税率導入の可能性がゼロというわけではない。地域振興券の前例があるからだ。公明党が提唱し、小渕政権は公明党を連立に引き込むためにその要求をのみ、1999年に実施された」

「食料品のうち、精米だけを対象とするなら、財務省の試算では200億円の減収で済む。地域振興券に要した費用に比べれば、かなり少額で、首相官邸から『精米だけなら…』とか、『2千億か3千億円なら…』という声が聞こえてくる。しかし、集団的自衛権の憲法解釈変更をのんだ公明党への恩返しとか、来年4月の統一地方選対策とか、という批判を招くのは必至だ」

「もっと良い方法がある。10%引き上げを先送りしてしまうのだ。『デフレ脱却を確実にする』という理由なら世論の支持が得やすいし、公明党は『引き続き努力する』と言っていればいい。なによりも、16年夏の参院選、それとの同時か、その前と想定される衆院選を控え、消費税率上げのリスクを回避できる。こういうことを知恵者がそろう官邸が考えないはずがない」

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「次回消費税率引き上げに「先送り論」」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長