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組織に一石を投じる「嫌な会長」

YKK吉田忠裕会長の「善」のガバナンス(後編)

2014年8月26日(火)

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(前編の記事はこちら

吉田忠裕・YKK代表取締役会長CEO(写真:中村豊、以下同)

 YKK、YKK AP両社の代表取締役会長CEO(最高経営責任者)である吉田忠裕(67)は今や、名実ともにYKKグループのリーダーだ。しかし先代の父親である故吉田忠雄とは、当然ながらタイプが全く違う。創業者の忠雄はカリスマ性があり、迷いなく我が道を突き進む。今の吉田は、事業を客観的に見るクールな目を持っている。

 YKKは今年1月、創業80周年を経た。吉田忠雄の他界により社長を引き継いでから21年余り、吉田忠裕はいま独自の事業構想を具体化しつつある。その大きな一つが、先代の忠雄が世界1に育てたファスナー事業についてである。新たな視点から課題を設定し、再成長戦略を始動した。

販売額の世界シェア45%に「由々しき問題」

 昨年春に発表した第4次中期経営計画(2013-2016年度)で、ファスナーの販売本数を現在の約75億本から「100億本」に増やす目標を掲げた。しかし吉田は、これでは満足していない。過去最高の販売本数は80億本で、ここ数年は75億本で推移していた。横ばいとはいえ、世界での数量シェアは約20%という。金額にすると約45%のシェアに達するというから、立派なものである。しかし吉田は「由々しき問題」が潜んでいると見た。

 金額のシェアが数量のシェアの2倍以上になるのは、高価格帯のいわゆるハイエンドの製品を販売しているからだ。世界の著名なアパレル(衣料品)メーカーは、品質、デザインで優れる「YKK」を採用している。だが新興国を先頭に発展途上国が次々と成長し始めて、価格が比較的安くて量が出るボリュームゾーンのファスナーの市場が拡大している。

 この流れを軽視して放置していれば、いずれボリュームゾーンで力を蓄えたメーカーが台頭して足をすくわれかねない。その危機感の根っこには、YKK本来の存在理由に照らして、現在の事業の在り方はおかしいという問題意識があった。

 「我々はハイエンドの分野が専門ですなどと言ってきたわけではありません。日常身につける必需品のファスナーを提供して、人々の生活を良くすることを目的にした会社です。高級品ばかり狙うのは我々の目指す方向ではない。多くの人が日々あったらいいなと思うものを潤沢に提供するのに、一番よいのはボリュームゾーンの製品でしょう」。原点を忘れたら「事業は次第に細って行く」と考えた。吉田は「世界1」を危うくする死角に着目したわけである。

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「組織に一石を投じる「嫌な会長」」の著者

森 一夫

森 一夫(もり・かずお)

ジャーナリスト

1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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