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三井造船が美しい“花嫁”である理由

中韓に負けない、陸で極める船舶技術

  • 江村 英哲

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2014年8月27日(水)

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昨夏、川崎重工業との経営統合が破談となって注目を集めた三井造船。中韓の攻勢で厳しい国内造船業では、再編の際に手を結ぶ相手として魅力的な企業だ。三井造船の魅力は技術力。その最先端の現場は海から遠く離れた内陸の東京都昭島市にあった。

 あらゆる天候の変化をコンピューターグラフィックス(CG)でシミュレーション・再現して画面に映し出し、GPS(全地球測位システム)を活用して外洋を航行する無人の大型船の位置を把握することで陸の上から的確に操舵する――。実現はまだ先だが、日本の造船技術はいつかその高みにたどり着くかもしれない。そんな期待を抱かせる最先端の船舶技術を研究する施設が、海から遠く離れた東京都昭島市にある。三井造船の昭島研究所だ。 

三井造船の操舵シミュレーション装置は、模造船の試験からデータを収集した。スクリーン上に実在の港湾の様子を緻密に再現しており、波浪の高さや風雨の強さなどによって操舵環境に変化をつけて操舵の訓練ができる。
 

 三井造船といえば、2013年6月に破談となった川崎重工業との“幻”の経営統合が話題となった。規模の大小を問わず、国内造船業のM&A(合併・買収)は急務とされている。中国や韓国の攻勢を受けて国内の造船業は世界市場でシェアを激減させ、構造的な不況業種に追いやられている。今年5月には建造量ベースで国内4位の名村造船所が、同10位の佐世保重工業と統合すると発表した。名村造船の名村健介社長は「1社だけでは技術競争に勝ち抜けない」と危機感を露わにする。

 目先では円安基調が続く恩恵や、一段と厳しくなる海の環境規制を受けて、日本勢は受注でやや盛り返している。数年先までの受注を確保できた造船会社も多い。この蓄えがあるうちに「造船業界は事業の再編を真剣に考える必要がある」と日本造船工業会の佃和夫会長は話す。

 世界で厳しくなる海の環境規制は、うまく対応できれば、日本勢にとって追い風となる可能性がある。環境性能が高い船を作る技術では日本勢に一日の長があるためだ。川崎重工と三井造船の経営統合の交渉が話題になった時にも、注目が集まったのは三井造船の持つ環境・エネルギー関連の技術力だった。

 三井造船は商船三井と共同で、燃焼時の二酸化炭素(CO2)の排出量が重油より少ないメタノールを使う輸送船を世界で初めて実用化するなど、「エコシップ」の開発にも定評がある。さらに、子会社の三井海洋開発は、ブラジル沖などで浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積み出し設備の設計や運営の実績がある。深海油田の開発は西アフリカ沖や東南アジアでも進む。2025年には世界の原油生産見通しの約1割が深海油田で生産されるとの試算もある。

 三井造船が持つ技術には将来の利益につながる可能性が眠っており、資本力の大きな造船企業なら、花束を抱えて迎え入れたい魅力的な技術を持つ企業といえる。その技術力の源泉のひとつが昭島研究所なのだ。

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