• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

環境自動車で日本がリードし続けるための条件

政策に惑わされてきた燃料電池自動車の行方

2014年8月28日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

政策と現実との乖離

 トヨタが2014年内に燃料電池自動車(FCV)を700万円相当で市場導入することに注目が集まっている。ホンダも2015年内には1000万円を切る価格で市場へ供給する計画である。10年前までは1台1億円であったことからすると、価格的には隔世の感がある。

 そのような動きから、いかにもFCVの時代が近い将来到来するような見解も時折目につくが、実際はそう簡単ではない。普及していくにしても恐らく2030年以降になるであろう。

 しかし、そのようなブームはこれまでもあった。2000年頃、正にその論議が産官の間で交わされていたのである。当時の資源エネルギー庁長官の私的研究会である「燃料電池実用化戦略研究会」(座長:当時の茅陽一慶応大学教授)が中心的な役割を演じていた。

 この議論の中でのFCVのストーリーは、2010年以降がFCVの普及段階という位置づけで立案作成されていた。その結論として、日本市場における2010年のFCVは5万台、2020年にはなんと500万台という展望であった。

 このロードマップをもとに、当時は国をあげて取り組む姿勢が強調され、産業界もそれに追随するかの動きをしていた。というのも、このコラムでも採り上げてきた米国カリフォルニア州のゼロエミッション自動車(ZEV)規制で1998年からカリフォルニア州に電気自動車(EV)を導入しようと進めたものの、EVの航続距離、充電時間、価格の視点から時期尚早と言う州政府の判断を見ながら、日本ではFCVの早期導入を目論んだことが背景にある。

 しかし、現実はどうか。2014年の日本市場で走行しているFCVは40台規模、2020年の台数を予測しても1万台に届くであろうか。

 では、なぜこのような大きな乖離が生じたのか。FCV関係者は市場での普及を積極的に推進したい主観が働くからであろう。これは日本のみならず、米国や欧州でも同じようなことが展開されてきた。EV関係者が究極の自動車はEVであるかのように発言するのと立場的には全く同じである。

Amazon「自動車・機械」カテゴリ1位獲得!
人材を育てるホンダ 競わせるサムスン

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

コメント7件コメント/レビュー

燃料電池車は、日本のエネルギー自給体制や非常電源としての側面が大きい。 もっと単なる自動車ではないことを主張していくべきだし、自分で解決できない地震などによる電気インフラの途絶を恐れる富裕層ならば、安い買い物だと思われる。 日本の国としても、主に中東に依存するエネルギーによる国際収支悪化を改善することができる点を評価すべきではないか。(2014/08/28)

「技術経営――日本の強み・韓国の強み」のバックナンバー

一覧

「環境自動車で日本がリードし続けるための条件」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

燃料電池車は、日本のエネルギー自給体制や非常電源としての側面が大きい。 もっと単なる自動車ではないことを主張していくべきだし、自分で解決できない地震などによる電気インフラの途絶を恐れる富裕層ならば、安い買い物だと思われる。 日本の国としても、主に中東に依存するエネルギーによる国際収支悪化を改善することができる点を評価すべきではないか。(2014/08/28)

筆者がEVの短所として述べていることはカルフォルニア発のテスラモータースが既に解決策を示しており、既にアメリカではEVの普及が急速に始まっています。電池性能もメーカー間の競争が激しくなりつつあり今後更なる向上が期待でき、ガソリン車がタンク満タンでの走行距離を越える走行性能になるのも恐らく遠い未来の事ではないでしょう。次世代車開発で日本勢が勝つ可能性よりも、FCVとハイブリットに固執しすぎてEV開発に乗り遅れマーケットシェアを失う可能性が高いと私は思っています。(2014/08/28)

記事でも指摘されているように、FCVは走行時のCO2排出はゼロでも、燃料の水素を生成するのに天然ガスなどのクラッキングや水の電気分解をするので、そのために電力を利用する。電力が火力発電で供給されていれば、それなりのCO2は排出される。日本はFCVのメリットを最大化するためには、火力発電を限りなくゼロに近づけるべきだ。その為には、地熱発電の促進が欠かせない。国立公園内での開発規制緩和が多少されたが、温泉街との調整などにエネルギーを使いすぎている様に見える。技術開発中の高温岩体発電まで実用化すれば、国内の発電は全て賄える資源は十分にあると聞いている。然も国外依存が全く無い理想的なエネルギー資源であり、水素生成の為に用いれば、正に「CO2排出ゼロ」を実現できる。それが実現される頃には日本を走る車の主流はFCVに変わっていることだろう。何気なしに「FCVは環境に良い」では駄目で、前述の様な状況を日本が実現することで世界を実質にリードして欲しい。(2014/08/28)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長