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中国不動産と米国利上げの「シンクロ・リスク」

海外では日本の下半期急回復説とは正反対の見方

2014年9月2日(火)

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 大幅に低下した日本の4-6月期GDP成長率の受け止め方が、国内と海外で大きく異なっているのが興味深い。日本では政府・日銀の強烈な「下半期急回復説」が浸透しているせいか、依然として楽観的な見方も残っているようだが、海外の金融機関やメディアにはその正反対の厳しい見方がずらりと並んでいる。昨今の様々な経済指標の数値を見る限り、能天気な楽観説には乗りにくいというのが実感だ。

 加えて、海外には不安材料が増え始めている。欧州経済の景気鈍化はほぼ想定通りであるが、ウクライナを巡る欧米とロシアの虚しい対立の先鋭化がドイツ経済に予想以上の悪影響を及ぼしており、さらなる欧州経済の悪化を誘う可能性は否定できない。そして、中国不動産のバブル終焉が現実のものとなり始めたこと、米国の利上げが市場予想よりも前倒しされそうなこと、なども懸念される。

 このうち、欧州経済の低迷はユーロ危機の再燃に繋がらない限りそれほどのサプライズにはならないだろうが、中国と米国の二つの懸念材料は、まだ市場に十分織り込まれてはいないように思える。仮に、その両方のリスクが顕在化するタイミングがシンクロ(同期)するようなことになれば、資本市場だけでなく実体経済にも少なからぬ動揺が生まれよう。

 日本には、米国の早期利上げが円安・ドル高を加速すれば経済や株式市場に順風だと期待する向きもあるが、円安がもはや輸出増を促す要因ではなくなっていることは周知のとおりである。また米国金利の上昇が、0.5%前後という持続性の疑わしい日本の長期金利水準を刺激する可能性もある。

 目先は、ユーロ圏の緩和期待や好調な米国株を背景に、公的年金の株式投資シェア増、日銀による追加緩和といった期待感にも支えられて株高基調が続くかもしれないが、長期的投資として考えれば、必ずしも資金を注ぎ込むに適したタイミングとは言えないようにも思われる。

中国経済、政府の介入にも限界

 海外要因として、まず気になる中国から見ておこう。同国経済は、腰折れを懸念する政府の梃入れが奏功して、4-6月の成長率は7.5%という政府目標ペースを維持している。7月の鉱工業生産高や小売売上高は伸び率が鈍化しており、1-7月期の固定資産投資や不動産開発投資もペースダウンとなっているが、全体的に政府の刺激策によって何とか持ち堪えている、という印象だ。年初にはデフォルト騒動で高まった市場不安の封じ込めにも成功している。国家資本主義の面目躍如といったところだろう。

 だが、そんな政府の経済介入にも限界がある。その典型が不動産市況だ。主要70都市のうち5月は35都市で、6月は55都市で新築住宅価格が前月比下落、7月にはその波が64都市にまで波及した。7月の価格下落幅は平均値で前月比0.9%低下と、3カ月連続の下落となっている。因みに、上半期での住宅販売件数は前年同期比9.2%低下、新築件数も同16.4%減と低調だ。

 投資面で見ても、1-7月の住宅投資は前年同期比13.7%増と1-6月の14.1%増からペースダウンしている。投資の不調は、新規銀行融資を含む7月の社会融資総量が前月の1兆9700億元から2731億元に激減したことにも表れている。

 年末に向けて、販売と投資の両面で不動産市況の暗転がより鮮明になることは確実だろう。最近、中国政府に日本との対話を再開しようとする動きが見え始めたことは、下り坂の経済問題と無関係ではないかもしれない。

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「中国不動産と米国利上げの「シンクロ・リスク」」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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