• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「自治体消滅論」に対する懸念

改めて考える人口問題(8)

2014年9月3日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 前回取り上げた「自治体消滅論」はますます日本全国に浸透しつつある。先日、朝日新聞(8月13日朝刊)に増田寛也氏のインタビューが出ていたのだが、驚いたのはそのリードだ。「全国約1800自治体のうち896市区町村が2040年までに消滅するかもしれない――。増田寛也元総務相ら民間研究機関『日本創成会議』がこうした試算をまとめた」となっている。

 これはあまりにもひどい要約だ。日本創成会議は、2040年までの人口を展望した上で、「若い女性が半分以上減少する」「人口規模が1万人以下」という2つの条件を満たした自治体は、人口減少が止まらないので、将来消滅の可能性があるという報告をまとめたのだ。

 896市町村というのは、第1の若い女性が減少するという条件を満たした自治体の数であり、2つの条件を満たした自治体の数は523だ。また、2040年というのは人口推計を行った期間であり、2040年までに自治体が消滅するわけではない。

 「2040年までに半分以上の自治体が消滅するかもしれない」と言われたら誰もが驚くが、そんなことは誰も言っていない。「なるほどこういう伝言ゲームが繰り返されて、自治体消滅論が拡散していくのだな」と、改めて感心したり、恐ろしくなったりした。

 今回私が指摘したいのはこの点だ。自治体消滅論に刺激されて、各地域が人口問題に危機感を持つようになり、自らの地域の将来を真剣に考えるようになることは大変結構なことだ。しかし問題はその議論の方向だ。大きく盛り上がった危機感に後押しされて、議論が間違った方向に進んでは、かえって逆効果になってしまう。

 私が懸念する点は、「東京への一極集中という考えが、あまりにも強くなりはしないか」「集中のメリットが軽視されるようなことはないか」「結果的にバラマキ的な政策が実行されてしまうのではないか」「地方にばかり目が行って、大都市が抱える問題への危機感が相対的に薄れてしまうのではないか」という4つである。

集中のメリットも重要

 まず、東京一極集中という認識は正しいだろうか。確かに、全国レベルで見ると東京への集中が目立つ。しかし、ブロック単位では、それぞれの中心都市(北海道は札幌、東北は仙台、九州は福岡など)への集中が起きているし、県単位では県庁所在地へ、各都市では中心部への集中が起きている。「一極集中」というよりも「多層的集中」だと見るべきではないか。

 つまり、全国に1つあればいいもの(例えば、企業の本社)は東京に、ブロックに1つあればいいもの(例えば、プロ野球の球団)はブロック中心都市に、県に1つあればいいもの(例えば、県立大学)は県庁所在地にという具合に、機能の階層ごとに地域集中が起きており、それが総合されて日本全体で多層的な集中が起きているのではないかというのが私の診断である。

コメント8

「小峰隆夫の日本経済に明日はあるのか」のバックナンバー

一覧

「「自治体消滅論」に対する懸念」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

機械を売るんじゃなくて、電気が欲しい方に電気が起きる装置をソフトも含めて売るビジネスをしていこうと。

田中 孝雄 三井造船社長