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MRJはプリウスになれるか

日航32機発注で見えたもう一つの市場価値

2014年9月5日(金)

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 三菱重工業グループの三菱航空機が日本航空(JAL)から国産小型旅客機「MRJ」を32機受注した。これで内外の航空会社からの受注は計400機を超え、2017年以降、順次納入を目指す。ただ小型旅客機は航空会社が自社で購入するほか、金融機関とリース(賃借)契約を結ぶ例が多い。関係者の間ではMRJの市場価値をめぐり思惑が交錯している。

 「世界で冠たる日本のエアラインからの受注は、諸外国にも優れた航空機だという裏付けになる」。8月28日、日航の植木義晴社長と東京都内で記者会見に臨んだ三菱航空機の江川豪雄会長は顔をほころばせた。パイロット出身の植木社長は「40年ほど航空機に携わったプロの眼で見ても、燃費や客室の快適性が高い」と購入の決め手を披露した。

 MRJの「定価」は1機47億円ほど。32機導入すると約1500億円になるが「機体価格を含め熱い交渉をさせてもらった」(植木社長)と述べ、大幅な値引きがあったことを示唆した。32機は国内の地方路線を中心に就航する。

 焦点はMRJの契約形態だ。航空機は①航空会社がマイカーのように自前で保有する、②レンタカーのように金融機関や商社からリース(賃借)する――に分けられる。

 しかし、初飛行さえ遂げていないMRJは航空機としての信頼性や快適性を今後、実証していくことになる。こうした実績は中古車市場で車種ごとの「値落ち」が異なるように、MRJの市場価値を大きく左右する。例えば10年後の価値が見えなければ、航空会社にとって「マイカー」にするべきか、「レンタカー」にするべきか明確な判断は下しにくい。MRJの発注が400機を超えた今、航空業界や金融関係者の関心はリースを中心にした販売後の市場価値に移りつつある。

 航空会社にとって飛行機をリースで調達するメリットは主に2つある。

 1つめは初期コストを抑えられることだ。MRJは1機50億円前後だが、中型機の米ボーイング787型機は約150億円、エアバスA380型機は300億円以上する。航空会社はこれだけ巨額の投資を自社だけではまかないきれない。スカイマークがA380型機を6機導入しようとしたものの、資金繰りの悪化からキャンセルに追い込まれたのは記憶に新しい。

 2つ目は財務の健全性を維持するためだ。日本航空や全日本空輸が保有する航空機は全体で220機前後。このうち約2~3割がリースだ。機体をいったん自社で購入しても、直後に所有権をリース会社に移すことがある。貸借対照表(バランスシート)上の資産を圧縮するのが狙いだ。日航の総資産は1兆3400億円(2014年3月期末)。このうち約5000億円を航空機が占める。MRJ32機、1500億円相当がそのままバランスシートに純増するとは考えにくい。

 日航の植木社長は現時点でMRJを「マイカー」形式にするか、「レンタカー」形式にするかについて明言を避けている。就航から納入までまだ時間的な余裕があることも一因だろう。

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「MRJはプリウスになれるか」の著者

清水 崇史

清水 崇史(しみず・たかし)

日経ビジネス記者

98年早稲田大学大学院修了、通信社を経て日本経済新聞社に入社。証券部で機械・プラント、海運・空運などを中心に取材。2013年4月から日経BP社に出向。総合商社、金融マーケットを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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