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サムスンの失速に見る日本の戦略

国家プロジェクトは産業貢献型へ

2014年9月11日(木)

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 最近、マスコミの記事を見ると「サムスン失速」、「サムスンに陰り」、あるいは「サムスン崩壊?」などという見出しを頻繁に目にする。いかにもサムスンが相当酷い状況にあることを示唆している表現だ。

 確かに日本の産業界、特に競合企業にとってみればビジネスチャンスとして心地良いニュースとして伝わると思う。ともかく、日本のエレクトロニクス産業がサムスンの攻勢により疲弊した経緯を考えれば、嬉しいニュースとして響くかもしれない。

 では果たして日本で報道されているほど深刻な状況なのか。実際は日本での報道が非常にオーバーな表現をしているように見える。2か月前の7月、韓国の水原、すなわちサムスンの城下町へ足を運びサムスングループとの意見交換を行ってきた。

 実態は日本で報道されているよう悲壮感は全くないと言える。活気はあるし、投資も積極的に進めているし、「日本では何を報道しているのか?」という雰囲気だ。韓国のウォン高基調、スマートフォンビジネスでの失速など、マイナス面があるのは事実だが、それはある意味、想定内と言えるものだ。確かに純利益の低下は事実としてあるが、日本の電機産業に比べたら絶対値ははるかに大きい。

 筆者が韓国サムスンに赴任した2004年以降、韓国通貨はじわじわとウォン高方向にぶれ始め、2007年には7.5ウォン/円まで進んだ。今でこそ10ウォン/円以下までウォン高方向に進んでいるが、現在よりもまだ25%ほどもウォン高だったわけで、既に現在のウォン高基調は織り込み済みである。

 その後はウォン安方向に働き、2011年から12年にかけては15ウォン/円であったことから激しく振れてきた経緯がある。よって、現在のウォン高基調と言っても7年前に比べたらまだ余裕はある。むしろ15ウォン/円を記録していた時、韓国の産業界の実態に比べたら異常にウォンが安過ぎるのではないかと思ったほどだ。

 スマートフォン市場、ことさら中国市場でのシェア低下も大きく報道されているが、これもある意味、織り込み済みである。なぜならそれは既に薄型液晶テレビでも経験しているからである。サムスンが液晶テレビで中国に進出した時にはローカルの液晶テレビとは品質的に格段の差があり、サムスンは力強い事業を展開していたし、LG電子のテレビも同様であった。

 しかし2010年を過ぎると、中国のローカルメーカーの実力が向上し、サムスンの勢いにブレーキがかかった。それだけコモディティ化していけば、どんな製品でも同じ道を歩むことになるだろう。スマートフォンも例外ではなく、現に中国市場では中国製品がシェアを伸ばしてきていることで、サムスンの事業を圧迫している。これはリチウムイオン電池や有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)などでも今後起こり得る現象だ。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

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「サムスンの失速に見る日本の戦略」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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