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「おじいちゃん、休まないで働いて」

「敬老の日」、子育て世代の身勝手な思い

2014年9月25日(木)

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 ひどく私的なことなのだが、何も用事がない休日は近所の小学校に娘を連れていくことが多い。何のことはない。校庭が遊び場として開放されるからだ。

 東京都江戸川区にあるわが住まいの近くには、子供が思いっきり走り回れるような公園などが少ない。バットで思い切りボールを打ったり、手加減抜きでサッカーボールを蹴り上げたりできるような場所となると、皆無といってもいいくらいだ。

 小学1年生の娘はボール遊びが三度の飯よりも好きで、父親と走り回れる休日の校庭開放を心待ちにしているらしい。用事があったり、雨が降ったりして「計画」が実行できなくなるとひどく不機嫌になり、こちらは閉口する。恥ずかしながら泣きわめく時もあるくらいだから、子供なりに真剣な思いなのだろう。

 そんな娘が先日、大荒れに荒れた。時間は午前9時過ぎ。当日の天気は快晴で、サッカーボールとバットとバドミントンラケットと水筒を抱えて、準備は万端。いつもはいない母親と妹もついてきて、はた目にもいつになくウキウキしているのが分かる。ところが徒歩10分もかからない学校に着くと、校門が閉じていた。

 「なんで開いてないの!?」

 途端に声を荒げる娘。思わず、「(門を開けてくれる)管理のおじいちゃんが遅れてるのかなぁ。でももう20分くらい過ぎてるから、なんかあるのかも」としどろもどろになる親。

 年末年始や運動会に重なったときなど、休日でも門が開かない時は確かにあった。だが、近所の学校はお盆の時期だって開いていた。今日は9月中旬の祝日の月曜日。ハテ、通常の休みの日のはずだけど……。と考えたところ、妻が声を上げた。「敬老の日だ」。

別格扱いの「敬老の日」

 妻が指し示した門の掲示を見ると、そこには遊び場開放の「お休み」として、「学校行事と重なる日」「悪天候の日」「年末年始」とあった。日付は空欄だったが、「8月●日」となっているのはお盆を意識しているのだろう。そしてそれらと並んで唯一、特定の日として掲げられていたのが「敬老の日」だった。

 「敬老の日か」と私。「ここだけ、えらくピンポイントだね」と妻。「管理の人がみんなおじいちゃんだから、休みってことなのかね」「祝日の中でも特別扱いか」。そんな大人の会話を聞いた娘は、怪訝そうな表情で「ケーローの日ってなに?」と聞いてきた。

 ここまで書いてきてなんだが、その後の我が家の顛末は本論と関係ないので、ご想像にお任せしたい。言いたいのは、我が家の家庭円満は、日曜も祝日も校庭の管理をしてくれている高齢者の労働力によって守られていたことに、気づかされたということだ。

 気になったので、後日「敬老の日」を休みにしている理由を江戸川区に問い合わせた。暇人、とはどうか思わないでいただきたい。この時点で記事にできるかなと思っていたので、立派に仕事の一環である。

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「「おじいちゃん、休まないで働いて」」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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