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中小企業を襲う超円安ショック

日本のモノ作りは生き残れるか

2014年9月24日(水)

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「北米での販売増加と円安によって今期も最高益更新が確実の富士重工業(写真は群馬製作所の工場)

 9月22日現在、1ドル=109円台前後で推移。8月以降、急速に円安が進んでいる。思い起こせば、わずか3年前の2011年10月に75円32銭という戦後最高値を記録し、自動車をはじめとする日本の製造業が超円高にあえいでいたのがウソのようだ。

 日本自動車工業会の池史彦会長は9月18日に開いた記者会見で、為替動向について「自動車業界としては心地よいレベル」と語った。円安に振れれば、輸出企業にとっては良いことずくめだ。外貨ベースの売上高や利益を円換算した時の数字が大きくなるため、見かけ上の業績が良くなるメリットもある。

円ドルの為替推移

だが、急激な円安は日本にモノ作りを残すための追い風とはならないどころか、このまま進めばダメージを与えかねない。

円安でもドルベースの株価は横ばい以下

 自動車に代表されるように、製造業の特徴はその波及効果の大きさにある。大手から1次、2次、3次と部品や素材が発注されていく。かつては「円安になれば大手メーカーに追い風が吹き、下請けも潤う」という単純な構図があった。だが、既にそうした構造は変わってしまった。

 2009年に始まり2012年末に終わった「超円高」の期間中に、国内製造業は生産拠点の海外移転を積極的に進め、いわゆる「空洞化」が進んだ。2007年に1160万台だった四輪車の国内生産台数は、2013年には963万台へと約2割減った。大手3社の国内生産比率を見るとトヨタ自動車が約3割、ホンダと日産自動車は約2割に過ぎない。

 トヨタや日産、ホンダの株価は円安の進行が鮮明になった今年8月に入ってから上昇した。例えばトヨタの8月1日終値は6087円(1ドル=102.61円)。円安の進行を受けて、9月19日は6494円(1ドル=109.01円)にまで伸長した。

自動車大手3社の株価推移(円ベース)
円ベースの株価推移(今年8月1日の株価を100として指数化)

 だが、米ドル換算すると、59.32ドルから59.57ドルとほぼ横ばいで、ホンダや日産も同様だ。各社の株価上昇は、円安による競争力強化を期待されたものというより、円の価値が下落したことによるものと見た方が妥当だろう。

自動車大手3社の株価推移(ドルベース)
米ドルベースの株価推移(今年8月1日の株価を100として指数化)

 自動車メーカーに限らず多くの製造業大手は、輸出に有利な円安になっても「海外を強化する」方針を変えるつもりはない。製造業にとって最も避けるべきは、為替変動によって事業継続が困難になるリスクだ。その解決策は、製品の需要地で生産する「地産地消」を進めることにほかならないからだ。消費市場として成長が見込みにくい日本国内の生産能力を増強し、成長市場の海外に輸出するという経営判断は、事業の持続性を考えれば合理的でない。

 トヨタは300万台、日産は100万台という国内生産規模を維持する目標を掲げている。大手自動車メーカーが国内で一定台数の生産規模を維持しようとするのは、為替リスクと別のロジックによるものだ。その生産規模を維持できなければ、日本を基盤とする製造業としての強みが失われる、と見ているからだ。すなわち、サプライチェーンの崩壊だ。

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「中小企業を襲う超円安ショック」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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