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大手術のサムスン、対症療法のソニー

日本と韓国、経営責任の取り方

2014年9月25日(木)

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大手術のサムスン

 9月11日のコラムでも少し触れたが、サムスンの目まぐるしいグループ間統廃合は、経営効率の最適化を狙うもので、サムスンの仕事の流儀とも言える。

 これはここ1年顕著だが、何も最近に始まったものではなく、筆者がサムスンSDIに移籍した10年前の2004年以降、活発になっていった。それが昨年から更に拡大した格好となっている。事業環境が急な変化を遂げていることから、主力事業を再整理しようとする戦略だ。

 サムスン重工業とサムスンエンジニアリングが合併を決議した9月1日、サムスングループの役員は合併背景の説明において、「時間は本当に限られている。“ゴールデンタイム”を逃せばおしまいだ」と発した。正に、機会を喪失しないためのスピード経営である。

 これに伴い、両社は海上と陸上をすべてカバーできる「超一流総合プラント会社」への飛躍することを表明した。 事業規模で2013年の約2.5兆円から2020年には4兆円に達する超大型総合プラント会社に成長するという展望である。両社は10月27日に臨時株主総会を開き、12月1日に合併を終える運びだ。

 この統合に伴って、サムスン重工業が新株を発行する。サムスンエンジニアリング1株当たりサムスン重工業株2.36株をサムスンエンジニアリング株主に交付するという合併案を決議したとのこと。サムスン重工業がサムスンエンジニアリングを吸収合併する。

 このような図式は、これまでにもいくつかあった。昨年9月に第一毛織のファッション事業部門をサムスンエバーランドが1500億円で買収するという発表に始まり、同月にサムスンSNSをサムスンSDSが吸収合併することも発表。同年11月にはサムスンエバーランドの建物管理事業をエスワンが買収することを決定した。

 今年に入ってからも6月にサムスン総合化学がサムスン石油化学を吸収合併。7月にはサムスンSDIが第一毛織の素材部門を吸収合併と相次いだ。

 第一毛織は以前、リチウムイオン電池用の電解液事業まで展開していた。その電解液を電池事業に適用していたサムスンSDIと三菱化学は険悪な関係となっていた。

 筆者がサムスンSDIに赴任した当初、三菱化学が所有する電解液の添加剤特許を巡って、第一毛織と三菱化学は対立関係にあったからである。状況を把握すると、第一毛織側に特許侵害の問題があったようで、三菱化学側から筆者も相談を受ける側に回った。時間をかけ協議をしたことで、結局は双方和解へと向かったが、事業競争力を高めることができなかった第一毛織の電解液事業は、結果として売却という結末を遂げた。

 2009年に設立したサムスンLEDは3年の命であった。このようなグループ間の事業統合のみならず、2007年のサムスンSDIからサムスン電子への太陽電池事業の移管、更に2011年には同事業をサムスン電子からサムスンSDIへ移管還流というような変更事例も枚挙に暇がない。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

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「大手術のサムスン、対症療法のソニー」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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