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買収の成否を握る「脳梁」ガバナンス

なぜグローバルM&Aは失敗するのか(その1)

2014年9月30日(火)

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 「次世代に向けての成長」――。これは重要なテーマである。取り組みは難しい。経営陣にとってはプレッシャーでもある。自信の無い経営者ほど“青い鳥”を探す。「グローバル化により新しい市場を開拓します」。そのために、「海外企業のM&Aを加速します」。そして、その多くは失敗する。

 失敗して「ごめんなさい」では済まないので、経営陣は色々と言い訳をする。外部環境のせいにするのはよくある手段。次に多いのが被買収会社、現在の自分たちの子会社が実はなっていない代物だった、という言い訳である。曰く、「ガイジンが言うことを聞かない」「モノ作りのやり方を教えたいのに拒否される」「売り上げを上げようという気がない」「報告・連絡・相談がない」……。最後には「やはりM&Aの後のPMI(Post Merger Integration=ポスト・マージャー・インテグレーション)は難しい」となって、いまやM&Aサービス会社の行うPMIセミナーやコンサルティングは大流行である。

 これらの言い訳、よく見ればすべて「相手のせい」である。タチの悪い企業を相手に、買収などを仕掛けてしまったのが間違いだったと言わんばかりだ(というか、言っている)。しかし、こうした言い訳をしている経営陣のもとで働くミドルによくよく聞いて見れば、原因は、ほとんどの場合「買った側の問題」だ。

 どういう問題か。ガバナンスを知らな過ぎる、という問題である。そしてそれゆえに、M&Aを成功に至らしめる基本的な仕組みや仕掛けづくりが親会社の側にできていないことにこそ、経営陣を言い訳に走らせ、ミドルがひたすら苦労する原因がある。

 ……というわけで、ミドルがガバナンスと無縁ではいられない第三の理由(*)、「経営管理」についてみてみよう(*第一、第二の理由に関しては「トップの暴走より逃走を止める仕組み」参照)。

無邪気に「モノ作り」を伝承しようとする“親会社”

 言い訳に走るような経営陣の行うM&Aは、ある意味結構「無邪気」である。買収して傘下に収めた企業は子会社、自分たちは親会社であり、「子は親に従うもの」と信じて疑わない。また、日本における「モノ作り」「おもてなしの心」には多大なる自負心を持っている(悪いことではないが)。そのため、そのやり方を早く「子会社」に注入したくてたまらない。「あの工場のやり方は古い。ウチの新しい技術さえ導入すればもっと良くなる」「やはり顧客にはもっときめ細かなサービスをしないと」云々。事業経験の長いトップなどは、プロセスに手を出すことにやる気満々である。

 そのくせ、海外企業に単身で乗り込んでいくのはちょっとコワイので、「子会社の自主性に任せるべき」と、被買収企業の既存経営陣をそのまま残留させて事業にあたらせようとする。

 また、「親会社」は成長を模索している真っ最中。そうでなくても日本の企業の多くはまだ売り上げ至上主義だ。親会社のノウハウを注入し、一方で現地のマネジメントが頑張ってくれれば売り上げが上がるだろうと期待に胸を膨らませている。

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「買収の成否を握る「脳梁」ガバナンス」の著者

松田 千恵子

松田 千恵子(まつだ・ちえこ)

首都大学東京大学院教授

1987年東京外国語大学外国語学部卒業。2001年仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修士。日本長期信用銀行、ムーディーズジャパンを経て、コーポレイトディレクションなどでパートナーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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