• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

地震の「後追い」から「予測」へ

人として研究者として自問の末に選んだ道

2014年10月3日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 私が地震予測をはじめた転機は、2011年3月11日の東日本大震災だった。

 地震予測の研究自体をはじめたのは2002年からだったが、最初の10年は、実際に予測をしていたわけではない。このあいだは、大きな地震が起きるたびに荒木春視博士と電子基準点データをひも解いて、地震の前の異常な変動、いわば前兆が起きていたのかどうかの検証研究を事後的に行っていた。

 つまり、地震の「後追い」の研究を続けていた私が、地震の「予測」にのめり込むきっかけとなったのが東日本大震災だった。

 前回までのコラムでは、衛星測位を活用した最先端の測量技術が、いかに地震予測に役立つかを説明してきた。今回のコラムでは、いよいよ地震予測にのめり込んでいく経緯と背景について述べていきたい。

 そして、その原動力となったのは、なぜ厳しい批判を覚悟で地震の異常な前兆を世間に向けて発信しなかったのだろうか、という後悔の念だった。

変人扱いされた10年間

 2002年に荒木博士に誘われて衛星測位による地震予測を始めるにあたり、2人で議論したのは次のようなことであった。GPSを開発した米国人は、いずれGPS技術で地震予測が可能であることに気づくに違いない。そして、その特許を取得するに違いない。

 世界有数の地震国に住む日本人が、米国が開発した地震予測の特許を買う羽目になるのであれば本末転倒ではないか。それなら、米国が特許を出す前に、われわれが特許を出願すればよい。この新しい発想を誰も見向きもしないだろうが、特許を取れば少しは見向きされるかもしれない。

 その2年前、私は60才で東京大学を定年退職していた。荒木博士は私の8才先輩で、会社をすでに退職していた。2人とも弟子も部下もおらず、すべて自分たちで手づくりしていかなければいけない。もちろん、研究費はゼロだ。特許出願の書類を弁理士に頼む費用もなかった。

 そこで私が、素人ながら特許出願の文書を書くことにした。2003年、「地震・噴火予知方法」という名称の特許を出願した。全国の電子基準点データは、国土地理院が管轄している。それを使っての特許である立場上、スジとして荒木博士と国土地理院まで挨拶に行った。だが、反応は決して芳しくはなかった。この特許が、行政の妨げになると捉えられたのかもしれない。

 ついで、われわれは連名で、日本測量協会の機関誌「測量」の2003年6月号に、「衛星測位システムを用いた地震・火山噴火予知」と題するテクニカルレポートを投稿した。こちらも、あまり反応はなかった。さらに荒木博士は、日本写真測量学会の春と秋の学術講演会で、地震発生の検証に関する発表を次々に行った。

コメント4

「動く地球を測量する」のバックナンバー

一覧

「地震の「後追い」から「予測」へ」の著者

村井 俊治

村井 俊治(むらい・しゅんじ)

東京大学名誉教授

公益社団法人日本測量協会会長、地震科学探査機構顧問。1963年東京大学工学部土木工学科卒業、1983年東京大学生産技術研究所教授、2000年東京大学定年後、東京大学名誉教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック