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本社組織を土台から見直せ

なぜグローバルM&Aは失敗するのか(2)

2014年10月14日(火)

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 コーポレート・ガバナンス――企業としては、株式市場から規律付けを受けるという意味ばかりが強調されるが、実は子会社や被買収会社に対しては、親会社はガバナンス機能を発揮する立場にある。そのことはなかなか意識されない。こうしたグループ内のガバナンスについて、前回は経営陣の意思決定を取り上げて課題を概観した(買収の成否を握る「脳梁」ガバナンス)。

 一方、これらの意思決定の結果をフィードバックし、あるいは意思決定のベースとなる考え方の平仄を合わせる、といった仕組みや仕掛け作りも必要である。これが同じく前回触れた、「左脳」と「右脳」のプラットフォーム、すなわち企業価値を向上させることを追求した計数系のプラットフォームと、企業理念を貫徹させることを追求した理念系のプラットフォームだ。ミドルの仕事もより深く関係してくる領域である。

 また、これらを考えていくことは、単にM&Aの成否だけではなく、将来に通用する会社の土台を作るという意味でも重要である。事業を取り巻く環境が変われば、当然あるべき組織も変わる。今は、その土台から見直さなければならない只中にいるのが日本企業の実情だ。まずは、経営管理面の「左脳」のプラットフォームから考えてみよう。

経営管理のプラットフォームを築く

 左脳のプラットフォームは、経営管理などとも呼ばれる。実は我々、この分野は結構苦手である。戦後数十年、売り上げと利益だけ見ていれば経営はどうにかなってきたからだ。管理会計という分野は確かに存在したが、そのほとんどは原価計算だった。そこにいきなり、投資に見合ったリスクとリターンを管理せよ、とか、バランスシートをしっかり見ろ、などと言っても、なかなか頭は切り替わらない。

 要は「企業価値を軸とした管理」をしようということなのだが、こうした投資家的発想自体、事業会社の方々はあまり好きではない。しかし、事業を複数持ち、しかもグローバルM&Aまでこなそうという企業であれば、事業のポートフォリオマネジメントを投資家的視点と知見を以て行うことは、本社の役割の1つとして必須である。大変失礼かもしれませんが、本社の方々はちょっと投資家気分を味わってみませんか?

 やっていることはそれほど大したことではない。P-各事業の将来予測を行い、将来到達すべき目標の妥当性を検証し、投資に値する事業を選択する。D-選んだ事業に関し、事業の遂行者が要求する経営資源の配分(投資)を、決められた基準で判断して実行する。C-投資の結果を、当初の目標に照らして評価する。A-遂行者に対して然るべきフィードバックを行う。言ってみればこれだけだ。

精緻すぎるフォーマットは断捨離せよ

 だが、「食べる量を減らして運動を増やせばよいだけ」であるダイエットの実行に誰もが苦しむように、“言ってみればこれだけのこと”を、実際にやるのは大変なのだ。グローバルM&Aなどの際に、特に問題になる具体的な点を幾つか挙げてみよう。

 まずは、そもそもこのPDCAサイクルを貫く評価指標が明らかでない場合が多い。「企業価値」で海外の被買収企業は終わりだが、当の親会社はそうした管理がまだできていなかったりする。また、これらを回すためには様々なルールやプロセスやフォーマットが必要だが、ルールやプロセスについては決めなさすぎる一方で、フォーマットについてはあまりに細かすぎる企業が多い。

 日本企業が国内で用いているフォーマットは多くの場合、良く言えば大変精緻だが、悪く言えば細かすぎる。「もしかすると要るかもしれないから念のため」と思って設けている項目があまりにも多い。よく見ると重複した内容を何ページにもわたって記述させているような場合もある。こういうフォーマットは断捨離しましょう。だいたい今あるものから3割がたスペックを落として十分である。それでようやく海外にも伝わる。

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「本社組織を土台から見直せ」の著者

松田 千恵子

松田 千恵子(まつだ・ちえこ)

首都大学東京大学院教授

1987年東京外国語大学外国語学部卒業。2001年仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修士。日本長期信用銀行、ムーディーズジャパンを経て、コーポレイトディレクションなどでパートナーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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