• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

香港の「反中」デモと、中国の「反日」デモの類似点

選挙制度の問題はきっかけに過ぎない

2014年10月7日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 9月末から香港で史上最大規模のデモが発生している。中国は香港の2017年の次回選挙から普通選挙の導入を認めていたが、立候補者を厳しく制限したことなどから民主派を中心に反発が拡大。10月1日の国慶節(建国記念日)をピークに、梁振英(C・Y・リョン)行政長官の辞任を要求するなどエスカレートした。6日午前の時点で、政府と学生団体の対話に向けた交渉の動きもあるが、長期化の様相を呈している。

 デモに参加しているのは高校生や大学生など若者が中心だ。「このままでは1国2制度が崩壊してしまう」「中国の言いなりになんて絶対ならない。香港は自分たちの手で守る」と拳を挙げた若者らのパワーはものすごく、金融センターである香港の象徴、セントラルの幹線道路を封鎖するという強硬手段に出た。1日と2日は連休だったため、路上で夜を明かした若者や、それに賛同した市民らが大勢いて、一時騒然となった。

 彼らをデモに突き動かしたのは普通選挙の方法が民主的でないということだったが、原因はそれだけではない。1997年の中国返還から17年のあいだ、香港人の中には積もりに積もった不満がくすぶっていた。衝突のひとつは中国人観光客との日常的な諍いの積み重ね、感情のぶつかり合いだ。

 13年に香港を訪れた外国人観光客は約5400万人だが、その75%に当たる約4100万人が中国人。香港の街角で中国人客を見かけない日は1日たりともない。だが、地下鉄構内やショッピングセンターではマナーの悪い中国人と香港人の諍いが絶えず、今も小競り合いは頻発している。

中国への依存とストレスの増加

 しかしその一方、観光や小売業界の中国人観光客への依存度は年々高まっていた。貴金属ショップや高級ブランドショップには中国人観光客が長蛇の列を作り、香港に多額のお金を落とした。彼らは中国で手に入りにくい化粧品やブランド品などを購入。13年の香港小売業の売上高の約3分の1が中国人客によるものだった。返還前、街中の小売店や飲食店で聞こえてくるのは広東語(香港人の母語)か英語だったが、今では中国語(北京語)が主流だ。

 観光客だけではない。返還後、香港は中国から1日150人の移民を受け入れており、郊外のニューテリトリーにある新興住宅地に行けば、一目で大陸出身者とわかる人々が大型マンションにかたまって住んでいて、一大中国人村を築き上げている。こうした“新移民”には香港人男性の配偶者となった女性や身内を頼って香港に渡ってきた人が多い。中には所得の高くない人もいるが、それとは別に、香港政府は03年から「資本投資者入境計画」を設置。当初650万香港ドル(当時のレートで約6500万円)以上投資した者に投資移民ビザが発給され、この中には数多くの中国人富裕層が含まれていたが、香港政府は10年に投資額を1000万香港ドルに引き上げ、さらに多くの富裕層を香港に取り込もうとしている。

経済、就職、住む場所も…

 このほかに高度人材ビザなどもあり、香港の金融界などで働く中国人エリート層や芸術家なども多い。私も中心街などで何度も見かけたことがあるが、一見して大陸から来た中国人だとわかる。小柄で浅黒、胸板の薄い痩せた香港人と比べ、大陸(とくに北方)の中国人は背が高く色白、ガッチリとした体形で、顔立ちも異なるからだ。むろんネイティブの中国語をしゃべり、中華レストランで高額な料理を注文し、仕立てのいいスーツに身を包んでいる。かつての香港を知る者にとっては隔世の感がある風景だ。

 香港大学などの名門校でも、05年頃から中国出身の学生がじわじわと増えてきており、学生たちはそれを肌で感じている。香港大、香港中文大はいずれも学生総数は2万人前後だが、中国人留学生はそれぞれその約1割に当たる約2000人にも上る。彼らの上位成績者は中国の北京大学、清華大学などトップの大学に合格できるほどの秀才だが、それらを蹴って、わざわざ香港の大学にやってきた。

コメント7件コメント/レビュー

香港が金の卵を産む鶏ではなくなったので捌いてもいいかと中国共産党が決めたのでしょうが、彼らが香港の本当の価値に気づくことは党が崩壊しても無理でしょうね。今回のデモを単なるプライド云々の問題に矮小化して考えると本質を見誤りますね。台湾の議会占拠ともリンクする問題です。(2014/10/08)

「再来一杯中国茶」のバックナンバー

一覧

「香港の「反中」デモと、中国の「反日」デモの類似点」の著者

中島 恵

中島 恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年、山梨県生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。退職後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、社会事情などを執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

香港が金の卵を産む鶏ではなくなったので捌いてもいいかと中国共産党が決めたのでしょうが、彼らが香港の本当の価値に気づくことは党が崩壊しても無理でしょうね。今回のデモを単なるプライド云々の問題に矮小化して考えると本質を見誤りますね。台湾の議会占拠ともリンクする問題です。(2014/10/08)

ガス抜きに使われる反日デモと同じ、社会不満原因でのデモの側面は無いとは言わないが、デモの目的は額面通りでしょう。大人しくしていると香港も台湾もチベットウイグルと同様に中国本体に同化若しくは皮肉な事に批判対象の旧日本での朝鮮台湾以下になる事を危惧しているのでしょう。「香港人は自分たちが(大陸の中国人に比べて)どれほど恵まれているのかわかっていない」は、嫉妬でしかなく、本土を良い方に変えるのを諦めている。良くする為には香港を応援するべきであるのに。「返還時の約束を反故」の件は軽く見すぎ。抵抗しなければ都合良く次々切り込んでくるのが中国。日本でもやっと之を理解している人間が増えてきた所。植民地の件は現中国政府が当時のイギリスより悪いと言う事。信用が無い。だから少しでもマシな自分達で選んだという手段と結果を求める。祖国に戻るのを喜ばないのも祖国が悪いから。香港人のプライドで上と見るのはマナーなどの民度では?そのへんわからずに見下し都か考えるのは中国人らしいと思う。(2014/10/07)

インターネットで読める日本のマスコミの中占関連の記事として、内容豊富でバランスのとれた現在までで最高の記事だと思いました。NYTやEconomistほかの欧米メディアにもこれほどの記事はなかったと思う。(2014/10/07)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

リクルートは企業文化そのものが競争力です。企業文化はシステムではないため、模倣困難性も著しく高い。

峰岸 真澄 リクルートホールディングス社長