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東京都の最低賃金「888円」は妥当なのか

30数年前より高いのか?

2014年10月15日(水)

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 「東京都の最低賃金はいま何円ですか」とたずねられて、都内在住か在勤の人ですぐ答えられる人は、どのくらいいるだろうか。答えは888円で、筆者は即答できる。なぜかと言えば、厚生労働省が掲示したポスターが通勤で使う駅に貼ってあり、いつも目にしているからだ(=写真)。

 ポスターは2種類あり、駅の通路の両側に貼られている。1種類には888円という金額が大書きされており、その下に適用は今年10月1日からであることや、「年齢に関係なく、パートや学生アルバイトなどを含め、すべての労働者に適用されます。賃金が最低賃金以上になっているか、確認してみましょう」「最低賃金未満の労働契約は、無効です」といった説明がある。もう1種類には最低賃金の簡単な説明と、日給や月給の場合に最低賃金以上かどうかを確認するための計算方法などが書かれている。

今の若者は恵まれているのだろうか

 こうした政府広報が東京でも積極的に張り出されているということは、地方に比べて景気が相対的に良い都内でさえも、最低賃金の違反事例が少なからずあるからだろう。職種によっては人手が不足しているが、規模の小さい企業では経営状態の厳しさゆえに高い賃金を払うのが難しいので、違反が生じやすいと考えられる。

 888円という最低賃金の水準は妥当なのか。毎年の地域別最低賃金の水準は、中央最低賃金審議会から提示された引き上げ額の「目安」を参考にしつつ、各都道府県の地方最低賃金審議会(公益代表、労働者代表、使用者代表の委員で構成される)で賃金実態調査などさまざまな統計資料を踏まえた審議が行われた上で、都道府県労働局長により決定されている。

 そこでは民主主義の下、行政・経営者側・労働者側の3者の意見を汲む形できちんと手続きを踏んで決められているわけで、その結果は尊重されるべきだろう。なお、5都道県で発生していた最低賃金と生活保護費の逆転現象は、今年の最低賃金改定によって解消することになった。

 しかし「888円」と書かれたポスターを見て筆者が抱いた問題意識は、まったく別の角度からのものである。自分が大学生としてアルバイトをしていた80年代前半と比べた場合に、888円という最低賃金を上回る950~1000円といった時給でアルバイトをしている今の若者は恵まれているのだろうかという視点である。

 要するに、この30数年間の日本経済の動きを反映して考えた場合、888円という東京都の最低賃金は高いのか、それとも安いのかという、素朴な疑問だ。

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「東京都の最低賃金「888円」は妥当なのか」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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