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香港騒乱で「デモ潰し」に参加する若者は何を思うのか

学生と若者と、蔑視と憎悪の応酬

2014年10月16日(木)

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 香港では、民主派による市街地占拠デモが継続している。

 日々刻々と状況が変化しているので、この原稿が公開される時点でどのような状況になっているか予測することは難しい。だから、ここに最新動向を書こうとは思わない。

 また、欧米系メディアを中心として、17歳にしてデモ隊の精神的支柱になりつつある黄之鋒さんの卓越したリーダーシップについて書かれた記事も散見する。その現実に立脚しつつも情熱的で人の心を揺さぶる言葉には魅了されずにはいられない。私も短い時間だったが彼にも話を聞くことができた。だが残念ながら、これまで世に出た彼に関する数多の記事を超える情報を手にできたわけではないし、彼の足跡にも触れたよい記事がほかにある。これも他稿に任せよう。

 学生たちが、解決が困難と思われる政治的な課題に対して、冷静な判断と強い忍耐によって行動を起こしているその現場を目の当たりにすると、否応なく心動かされる。私たち日本人が数十年前に置き去りにして来てしまったものがそこにあるからだ。学生の本分を忘れず、バリケードの中で「自習区」を作って夜空の下で勉学に励む姿、その損得勘定を超えた純粋な情熱について書こうと思えば、やはり何字を費やしても足りない。だがこれもまた、類する記事や写真が数多公開されている。改めて書く意味は乏しい。

 私がここで書きたいのは、香港が潜在的に抱える傷のような深い断絶についてだ。

 市街地を占拠するデモ隊は、これを排除しようとする「反デモ隊」と何度か激しく衝突している。衝突、という言葉はやや中立的に過ぎるかもしれない。デモ隊は、反デモ隊に何度か「襲撃」されている、と書いた方が事実に近い。それは流血を伴うまぎれもない暴力であり私闘だった。逮捕者も出ている。

 暴力を肯定する気はさらさらない。平和裏に座り込みを続ける学生らを覆面して襲った反デモ隊には、暴力団関係者が含まれていたことも分かっている。学生運動に対して右翼団体や暴力団の関係者らが立ちふさがり、警察には決して振るえない暴力を振るう。その「動員」に政府の意向があったかどうかは現時点でははっきりとは分からないが、日本を含めて、さまざまな国で学生運動が直面してきた現実だ。その姿は、権力というものを後ろ盾にした愛国無罪の無法そのものであり、弁護の余地は一片もない。

 だが、欧米メディアがそうするように、民主化を求めてデモに邁進する学生たちを「善」、このデモを暴力をもって潰そうと試みる親中派たちを「悪」とだけ断じてしまっては、見えにくくなってしまうものもあるように思う。

 私は、あえて「デモ隊」でなく「反デモ隊」に参加する若者たちの声を拾った。その取材を通じて私は、今回のデモが、香港が抱えていた傷のような断絶をさらに裂いてしまったのではないかと思わずにはいられなかった。

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「香港騒乱で「デモ潰し」に参加する若者は何を思うのか」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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