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ノーベル賞を輩出する日本、輩出できない韓国

それでも残る日本の課題

2014年10月23日(木)

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候補がひしめく日本

 ノーベル物理学賞を日本人3名が受賞した直後、筆者は10月8日に発表されたノーベル化学賞の選考にも大変期待を寄せていた。残念ながら今年の化学賞の女神は日本に向かって微笑まなかったが、特に2000年以降は複数の日本人が化学賞を受賞している。

 事実、米トムソン・ロイターが毎年発表している予測にも、多くの日本の発明と日本人の名前が化学賞にはリストアップされてきた。その中には、「光触媒」や「リチウムイオン電池」も含まれているのだが、その発明者達とは20年以上の交流が続いていることもあって、殊更応援している次第である。

 光触媒の原型は1967年の「本多・藤嶋効果」に遡るが、日本からの発信は世界の注目を浴びた。二酸化チタン電極と白金電極を用いて、二酸化チタン側に光を照射すると水が分解されて、二酸化チタン側から酸素が、白金側から水素が発生する原理の発見であった。その延長上に、現在の光触媒の実現があり、一般社会に浸透している。

 光触媒の発明は、東京理科大学学長・藤嶋昭氏、東京大学大学院・橋本和仁氏の成果によるものである。筆者がホンダの基礎研究所に異動した1990年から、お二人とは研究テーマを軸に交流させていただいた。そのテーマとは、二酸化炭素を有用資源に転換するための研究であったが、残念ながら原理的に具現化までは至らなかった。

 現在、橋本教授が率いる科学技術振興機構の国家プロジェクト「次世代革新電池の研究」に、筆者が有識者委員と言う形で本年5月に委嘱されたのも、以前からの交流があったからのこと。このプロジェクトでは政府のメンバーとも意見交換を行っているが、筆者が主張している論点は、電池の基礎研究の場合、電池業界があることから最終的には産業界へのアウトプットを目指すこと、そして革新的な電池の具現化によるノーベル賞級の研究成果に結びつけることである。

 ノーベル化学賞の場合は、特に実用化が前提にされている。光触媒は抗菌タイルや、汚れ物質の付着防止、細菌の死滅化、超撥水、超親水などで現代社会に大きな貢献を果たしつつある。しかし、日本がこの分野のパイオニアで圧倒的に強い分、世界の強力な仲間と推薦者がどれだけいるのかが、ノーベル賞に向けての課題でもあるようだ。

 もう一方の「リチウムイオン電池」は旭化成フェローの吉野彰氏の貢献が多大である。実用化に関しては1991年に世界に先駆けたソニーが大きな役割を果たした。

 今やリチウムイオン電池が社会に貢献している度合いはすこぶる大きく、この電池の存在なくしては、スマートフォンやノートPCの利便性を享受できない。更にはハイブリッド自動車や電気自動車にも欠かせないコンポーネントとなっていて、今後の車両電動化に向けて果たす役割はさらに大きくなる。エネルギーセキュリティの側面からも非常時の電源として、あるいは再生可能エネルギーの平準的使用を可能とする電源として、震災リスクを常に背負っている日本としては、多くの市場を有している。

 筆者がホンダでの電池研究室を立ち上げた1990年代前半から、リチウムイオン電池を共通にした異業種交流会のメンバーとして、自動車業界の立場からの参加を吉野氏から要請されたことで交流させていただくきっかけとなった。既に、20年以上の交流に至っている。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

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「ノーベル賞を輩出する日本、輩出できない韓国」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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