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「羽田深夜割」で問われる空の自由競争

2014年10月29日(水)

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 国土交通省は11月から、深夜早朝に羽田空港を新たに発着する国際線の着陸料を引き下げる。1年目は50%、2年目は30%、3年目は20%を割り引き、航空会社の負担を軽くする。発着枠に比較的余裕のある深夜に路線就航を促し、日本を訪れる外国人観光客、ビジネスパーソンの増加に弾みをつける。

 訪日外国人を増やす政策は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたアベノミクスの目玉でもある。折しも足元で日経平均株価が一時1万5000円を割り込むなど、景気には停滞の兆しが見え始めている。航空・旅行業界に限らず、企業の間では羽田の着陸料引き下げが「新たな内需の掘り起しになる」との期待感は高い。

 深夜帯の発着枠は1日40便あるが、現在は23便しか使われていない。アジアの主要空港より着陸料が割高なことから海外航空会社の中には羽田を敬遠する動きもあった。中型旅客機の場合、旅客1人あたりの負担額は韓国・仁川国際空港の約3倍、上海・浦東国際空港の約3.5倍とされる。

 引き下げる対象は午後11時から翌日午前6時までに新規就航か既存路線を増便した場合だ。大型旅客機「米ボーイング777」の着陸料は1回あたり約70万円だ。初年度の減額幅は1億3000万円で、3年間合わせると約2億5000万円の負担軽減は大きい。

 しかし政府・与党内には「例の問題」がくすぶる。日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の競争環境を巡る議論だ。日航が法的整理を経てコスト体質が身軽になったのに対し、全日空は自力で世界の航空大手に伍すまで収益力を高めてきた。両社のつばぜり合いは広く知られるところだが、ここにきて通称「8.10ペーパー」と呼ばれる内部資料が再び注目されている。

 「日本航空の企業再生への対応について」。作成者は監督官庁の国交省航空局で、作成の日付は2012年8月10日。A4判用紙2枚の文書に「日航に対し投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視する」「羽田等の混雑空港の発着枠配分などの調整を通じて健全な競争環境の確保を図る」といった文言が散りばめられている。

 全日空との競争環境を配慮するためのガイドラインという目的で作成された。日航からすれば、経営への足かせにほかならない。今回、羽田の「深夜早朝割引」を利用して日航が新規路線を開設しようとした場合、8.10ペーパーの効力は及ぶのだろうか。

 既に議論の兆しは見え始めている。舞台は日本とオーストラリアを結ぶ新規路線だ。10月12日から14日までオーストラリアのダーウィンで企業経営者らが開いた日豪経済合同委員会(日本代表=三村明夫・新日鉄住金名誉会長)。議長総括には「豪州各都市と日本を結ぶ新規直行便の開設が強く要望され(中略)羽田の深夜早朝枠の活用が重要である」との文言が盛り込まれた。

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「「羽田深夜割」で問われる空の自由競争」の著者

清水 崇史

清水 崇史(しみず・たかし)

日経ビジネス記者

98年早稲田大学大学院修了、通信社を経て日本経済新聞社に入社。証券部で機械・プラント、海運・空運などを中心に取材。2013年4月から日経BP社に出向。総合商社、金融マーケットを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師