10月10日、日本の航空業界に大きな衝撃が走った。
国内LCC(格安航空会社)の1社であるジェットスター・ジャパンの2014年6月期の単独決算が発表されたのだ。その内容は、売上高290億円に対して、営業損益は107億円の赤字、最終損益は111億円の赤字というものだった。同社は昨年秋にも、日本航空(JAL)と豪カンタスグループを引受先とする110億円の第三者割当増資を実施したばかり。わずか1年足らずで増資分を使いきったことになる。
ジェットスター・ジャパンほどではないにしても、成田国際空港を拠点とするバニラ・エアも2014年3月期の業績は振るわない。売上高65億円に対して、営業損益は56億円の赤字、最終損益は60億円の赤字だ。一方、関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションの2014年3月期の業績は、売上高305億円に対して、営業利益20億円、最終純利益10億円。
成田を拠点とするジェットスター・ジャパンとバニラ・エアが苦戦する一方で、関空のピーチ・アビエーションが絶好調なのはなぜか。本誌10月20日号では「苦境に立つ成田拠点のLCC」として、その1つの要因が、成田の使い勝手の悪さにあると指摘した。
同記事の執筆のために、改めて3社の業績や運航実績などを見直していると、ある数字が飛び込んできた。それが「欠航率」の違いである。国土交通省が発表した国内航空各社の欠航率(運航予定便数に対する欠航便の割合)を見ると、その違いは明らかだ。
例えば、2013年度の欠航率を比べてみると、ピーチ・アビエーションが0.55%なのに対して、ジェットスター・ジャパンは1.49%、バニラ・エアは2.27%。2014年4~6月の実績を見ても、ピーチ・アビエーションが0.16%なのに対して、ジェットスター・ジャパンは0.35%、バニラ・エアは0.56%。LCC3社を比べると、ピーチ・アビエーションの欠航率は低い。
かといって、ジェットスター・ジャパンやバニラ・エアの欠航率が国内航空会社の中で飛び抜けて高いかというと、そうではない。2013年度の大手2社の欠航率は、全日本空輸(ANA)が1.21%、JALが1.26%。中堅のスカイマークやエアドゥ、スターフライヤーも欠航率は1%台で、スカイネットアジア航空だけ0.85%を記録している。つまり、ピーチ・アビエーションの欠航率0.55%という数字が、際立って低いことになる。
この違いが、果たして業績に影響を及ぼしているのだろうか。
この疑問に対して、バニラ・エアの石井知祥社長は、「運航品質の高さこそ、ピーチ・アビエーションが成功した理由」と分析する。同時に「LCCだからこそ、高い運航品質を実現しなくてはならない」と続けた。
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