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異業種交流イベントで感じた日本の強み

ビジネスの本質は顧客目線

2014年11月6日(木)

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 10月23日と24日に京都で開催されたワークショップへのお誘いを受けて出席した。筆者がサムスンSDI在籍中の2012年にも講演者として招かれたが、大阪ガスの子会社で受託研究の業務を行っているKRI(関西技術研究所)が主催するクライアントコンファレンスで、毎年この時期に京都で開催されている。

 秋たけなわのこの季節、京都は観光客で大賑わいである。観光モードを多少うらやみながらも500人を超える参加者が集うのだが、初日はゼネラルな話題、2日目は特定なテーマに関する専門性の高い議論ができるような企画となっている。

発電・蓄電分野での日本の立ち位置

 2日目のワークショップでは民生用・車載用リチウムイオン電池、大容量キャパシタ、燃料電池自動車、家庭用燃料電池、医療・ヘルスケア、新事業へのイノベーションなど、ホットなテーマが主体であった。

 燃料電池自動車も家庭用燃料電池も、世界的に見て日本が最先端を走っている。燃料電池自動車の研究開発はトヨタもホンダも30年近く継続しており、いよいよ年末から実車が市場に姿を現す。1990年にカリフォルニア州が発信したゼロエミッション自動車の法規に端を発したことの成果である。

 燃料電池自動車が究極の環境自動車になるか否かの議論はさておき、30年近くの歳月をかけて地道に、持続的に展開してきたことに大きな意味がある。研究開発を進める開発陣も粘り強さが必要である一方、経営側も短期的な判断ではなく長期テーマに対する十分な理解と、短期的成果を求めない包容力が必要であるからだ。30年に近い歳月は、短期的成果を追い求めがちな韓国では見られない光景で、そこが日本の底力と映る。

 家庭用燃料電池は日本市場ならではのビジネスモデルで、そのままでの海外展開はしにくいものでもある。日本の電気料金の高さや、震災に伴うエネルギーセキュリティの問題が、この分野の開発とビジネスを加速している。

 中でも、固体電解質形燃料電池(SOFC)は京セラやTOTOのようにセラミック技術の優れた企業が中心となることで、このタイプの燃料電池の技術と製品で世界を圧倒している。韓国内では京セラやTOTOと競えるほどのセラミック技術力をもつ企業がないことから、SOFCに関しても日本が大きな強みをもっている。

 一方でSOFCの課題は、普及するための価格低減にある。固体電解質のセラミックのコストがどうしても高くつくことに加えて、作動温度が700~800度領域であるため部材の耐熱性が要求される分、コスト高になるので、この部分の解決が継続的に必要になる。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

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「技術経営――日本の強み・韓国の強み」のバックナンバー

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「異業種交流イベントで感じた日本の強み」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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