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経営者を作る仕組みがない日本企業

ミドルが「経営」に目覚める仕掛けを

2014年11月11日(火)

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 日本の上場企業は、2005年に制定された会社法のもとで、ガバナンス形態として、取締役会設置会社という形か、委員会等設置会社という形のどちらかを選ぶことができる。株式会社は非取締役会設置会社という形態も選べるのだが(昔の有限会社)、これについては割愛する。

なぜガバナンス形態が幾つもあるのか

 もともと、上場している株式会社のガバナンス形態としては取締役会設置会社しかなかったところに、なぜ委員会等設置会社などというものが持ち込まれたのか。これには、会社法が制定された2005年という時期が、米国資本主義で行われているものなら何でも持ち込もうという時期であったことが影響している。

 1990年代後期から行われてきた資本市場改革を受けて、日本にも「物言う株主」が出現し、企業に対して敵対的買収を仕掛け始めたのがこの時期である。当時もコーポレートガバナンスのあり方が注目され、「日本型」である従来の取締役会設置会社よりも、「米国型」である委員会等設置会社の方が「優れている」のではないかという議論が出された。

 それで合意してしまえば、日本企業の統治機構は委員会設置会社で一本化されただろうが、この形は経営者にとって結構厳しい。詳しくは、「経営者は株主に、きちんと「監督責任を転嫁」すべし」にも書いたので省くが、要は執行を行う役員(執行役。執行役員とは別で、会社法で定められた役員である)と、監督を行う役員(取締役)とを分け(従来の日本における取締役会設置会社の取締役は、実際には実行と監督を兼務する)、後者は過半を社外役員とし、指名・報酬・監査の委員会を設けて監督を行おうとする制度である。

 何が厳しいと言って、これまで「社長専決事項」だと信じて疑わなかった「社長自身の進退」「後継者の指名」「経営陣の報酬」といったものが、社外役員の手に委ねられるのだ。当時の保守本流(抵抗勢力ともいう)の経営者にとって、これほど鬱陶しいものもない。「米国型」に猛反対が起きた末に両論併記にしたのが日本のコーポレートガバナンスシステムである。

 ちなみに、戦略的意思決定において両論併記は「もっともやってはいけないこと」である。日本が勝ち目のない日米決戦を始めた理由もここにある(そうだ。ご関心のある向きは、森山優『日本はなぜ開戦に踏み切ったか-「両論併記」と「非決定」』新潮選書、2012年を参照されたい)。

「ソト」の人間が入ってくる

 当時、経営者がイヤだったのは、突き詰めて言えば「ソトの人間が入ってくる」「ソトの人間に出処進退を押さえられる」という2点である。“自分の”カイシャだと信じて疑わなかった昔ながらの経営陣にとってはもっともな反応だ。当時は、「いやあ、僕は取締役じゃなくて、取り締まられ役だから♪」などという冗談も平然と語られていた。今考えると、その一言だけで取締役失格。そんなご時世であったために、委員会等設置会社という形態を取る企業はごく少数にとどまった。

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「経営者を作る仕組みがない日本企業」の著者

松田 千恵子

松田 千恵子(まつだ・ちえこ)

首都大学東京大学院教授

1987年東京外国語大学外国語学部卒業。2001年仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修士。日本長期信用銀行、ムーディーズジャパンを経て、コーポレイトディレクションなどでパートナーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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