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黒霧島が抜いた「薩摩焼酎」に思うこと

品質の向上なくして業界の発展なし

2014年11月21日(金)

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芋焼酎のCMに超有名女優登場

 「いらっしゃい。どっちにする?」

 バーカウンターに色っぽい手を添え、男性客に視線を投げかける女性。氷を入れたグラスに、ボトルからお酒を注いで乾杯――。11月10日、女優の米倉涼子さんを起用したお酒のCMが全国でスタートした。一見すると、女優の小雪さんらがCM出演したサントリー・角ハイボールの演出と類似している。しかし、お酒はウイスキーではない。芋焼酎である。

 鹿児島県の芋焼酎最大手、薩摩酒造は今秋から主力商品「黒白波」をリニューアルして発売した。CMのキャッチコピーは「ほの甘く、香り立つ」とし、芋焼酎が苦手な女性でも飲みやすい商品とうたっている。鹿児島県の焼酎業界では「いよいよ薩摩酒造が巻き返しに出た」と静かな話題を呼んでいる。

 創業1936年の薩摩酒造。鹿児島県南部の枕崎市を拠点とし、1970年代後半の第1次焼酎ブームを追い風に急成長した。6割の焼酎に対し、4割のお湯で割って飲む「ロクヨン」の斬新な飲み方を提案。広告宣伝が奏功する形で焼酎が大都市圏にも初めて普及した。

 1980年代の第2次ブームに伸びた麦焼酎「いいちこ」の三和酒類に抜かれるまでは、まさに「焼酎=白波」の天下。鹿児島県では1559年に県内の神社で「焼酎」と書かれた最古の木札が見つかった。薩摩焼酎は約500年続く伝統産業の歴史そのものである。

 だが、直近の焼酎業界の構図は一変している。1998年に発売して大ヒットとなった霧島酒造の芋焼酎「黒霧島」が業界の勢力図を塗り替え、薩摩酒造、三和酒類の売上高を次々と追い抜いてトップに立った。宮崎県の霧島酒造が躍進した背景は弊誌11月10日号特集「記録づくめの最強メーカー 黒霧島5000日戦争」で詳細に紹介した。霧島酒造は今や芋焼酎シェアの4割を握り、そのうち85%を黒霧島で稼ぎ出している。

2013年の焼酎メーカー売上高ランキング
社名 所在地 売上高(億円)
1 霧島酒造 宮崎県都城市 518
2 三和酒類 大分県宇佐市 500
3 薩摩酒造 鹿児島県枕崎市 174
4 雲海酒造 宮崎県宮崎市 173
5 二階堂酒造 大分県日出町 170
6 浜田酒造 鹿児島県いちき串木野市 131
7 高橋酒造 熊本県人吉市 78
8 本坊酒造 鹿児島県鹿児島市 71
9 若松酒造 鹿児島県いちき串木野市 67
10 美峰酒類 群馬県高崎市 66

帝国データバンク調べ

 今秋、薩摩酒造のお膝元である枕崎を訪ねた。そして、地元の酒屋で単刀直入に質問してみた。「どうして、白波は黒霧島に抜かれたと思いますか?」と。すると、こんな答えが返ってきた。「自分は白波を飲むし、地元でも人気だが、やはり芋臭いんだろう。自分でもそう思うよ」。それに比べて黒霧島は「ぐいぐいと飲みやすいから人気が出たんだろうね」と指摘した。

 地元のスナックでも同じことを聞いた。長距離トラックの運転手という男性は「九州から関東まで、どこでも走るが、地元の白波はほとんど見ない。どの地域でも置いてある焼酎は黒霧島ばかり。クセがないからだろう」との返事。スナックで働く女性は「地元の中高年には白波が圧倒的な人気だが、最近の若い人は『三岳』を飲む子が少なくないわ」と話した。

 「三岳」は鹿児島県の屋久島を拠点とする三岳酒造の主力商品。芋臭さを抑えた飲み口が東京など大都市圏でも人気を集めている。薩摩酒造の中堅社員にも話を聞くと、「黒霧島は消費者が求めていた飲みやすい新たな風味を作ったから一気に広がったのだろう。芸能人が絶賛した効果も大きかった」と渋い表情を見せた。

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「黒霧島が抜いた「薩摩焼酎」に思うこと」の著者

馬場 燃

馬場 燃(ばば・もゆる)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社の経済部などを経て、2012年4月から日経ビジネス記者。電機・IT業界を担当している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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