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「物価2%」へのこだわりが生む「日銀バブル」の足音

2014年11月25日(火)

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 黒田東彦総裁が率いる日銀は10月末、「黒田バズーカ2」とも呼ばれる追加緩和を打ち出して、世界を驚かせた。この政策が及ぼす弊害や副作用、長い目で見た場合のリスクの蓄積については、筆者以外にも多くの論者が指摘し、危惧するところとなっている。

 原油価格の大幅下落や消費税率引き上げ後の国内需要不振などによって、物価の見通しに下振れ方向で狂いが生じる中、「物価安定の目標」である2%をできるだけ早く実現するために日銀は追加緩和に動いたのだ、という説明がなされている。そして、市場の一部では、日銀の追加緩和が物価を上昇させる力を過大評価しているのか、「この追加緩和によってインフレが2%率を超えて加速するだろう」という予想も聞かれる。だが、筆者としてはうなずけない。

 追加緩和後に円安が大幅に進行しているが、輸出関連の製造業を中心に大企業の収益がかさ上げされる一方で、家計や中小企業には円安の行き過ぎは下押し要因なので、差し引きでは日本の景気にとってネガティブだろう。株価上昇や長期金利低下を経由した間接的な景気刺激効果にも自ずと限界がある。

物価上昇2%は極めて難しい

 また、円安で輸入品の価格が押し上げられる効果は、世界的な需給の緩みを背景に原油の価格が急落したことによる押し下げ方向の力によって打ち消される見通しである。日銀が目指している2%の物価上昇をワンタッチで実現することさえ、追加緩和が実行に移された後も、極めて難しいままだろう。

 リスクとしてむしろ意識すべきは、「カネ余り」を背景とする、ファンダメンタルズで正当化される範囲を超えた株式など資産価格のグローバルな上昇に、今回の日銀の動きが拍車をかけてしまうのではないかという点である。

 10月31日の欧州と米国の市場では、この日決まった日銀の追加緩和と日本の公的年金の基本ポートフォリオ見直しが買い材料になり、株価が大きく上昇。為替市場では円安ドル高が一段と進んだ。2%の物価目標を達成するためなら「何でもやる」と総裁が明言している日銀の強い姿勢は、キーパーソンの交代が起こるまで「量的・質的金融緩和」がこのまま長期化し、しかも断続的に追加緩和が行われる可能性を、かなり大きなものにしている。

コメント5件コメント/レビュー

要約すると、「世界が(構造的に)デフレ傾向であるからインフレ目標は無駄である」ということと、債券バブル(なぜか国際金利が低くなることをこう表現している)が先進国で発生しているということみたいですね。「バブル」を「金融経済と実体経済の乖離」と捉えるのであれば、現在の株高を「バブル」と表現するもの良いと思いますが、国債の金利の低下などは実体経済の鏡である(要するに国債以上の優良な投資先がない)以上、危機を煽るのはいかがなものかと思います。また、黒田バズーカでも物価がまったく上昇しないのであれば、極論からいえばいくらでもお金を刷って皆さんが大好きな「財政再建」が可能ですよね。(実際そうなっています)問題は世界経済を見渡しても消費の牽引役がいないことに尽きていますので、日本としては内需のための財政出動ないし減税(特に消費税減税)を金融政策とともに行うオーソドックスなデフレおよび不況対策がベストな選択肢になるでしょう。財源??国債がバブルを起こしているのであれば、国債(もしくは通貨)を発行してその価値をゆっくり落としてソフトランディングすれば解決じゃないですか(笑)(2014/11/26)

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「「物価2%」へのこだわりが生む「日銀バブル」の足音」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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要約すると、「世界が(構造的に)デフレ傾向であるからインフレ目標は無駄である」ということと、債券バブル(なぜか国際金利が低くなることをこう表現している)が先進国で発生しているということみたいですね。「バブル」を「金融経済と実体経済の乖離」と捉えるのであれば、現在の株高を「バブル」と表現するもの良いと思いますが、国債の金利の低下などは実体経済の鏡である(要するに国債以上の優良な投資先がない)以上、危機を煽るのはいかがなものかと思います。また、黒田バズーカでも物価がまったく上昇しないのであれば、極論からいえばいくらでもお金を刷って皆さんが大好きな「財政再建」が可能ですよね。(実際そうなっています)問題は世界経済を見渡しても消費の牽引役がいないことに尽きていますので、日本としては内需のための財政出動ないし減税(特に消費税減税)を金融政策とともに行うオーソドックスなデフレおよび不況対策がベストな選択肢になるでしょう。財源??国債がバブルを起こしているのであれば、国債(もしくは通貨)を発行してその価値をゆっくり落としてソフトランディングすれば解決じゃないですか(笑)(2014/11/26)

今は、禁輸緩和も財政出動もしっかりやって30年、40年後の日本の姿をしっかり描く。プライマリーバランスを気にするのはもっとずーと先でよいと思う。消費税が5%のままだったらインフレ目標の達成は難しくなかったはず。金融緩和が増税を前提としているというお話は本末転倒だと思う。(2014/11/25)

有識者と呼ばれる人たちは、一般大衆の消費行動を理解していないと思われる。日銀の追加緩和は、確かに金融政策としては意味があったと思われ、一定の効果をもたらしたのは事実だ。しかし、金融政策で「物価2%」は達成できないと思われる。なぜなら、物価というモノは需要と供給で決定するのが、昔から変わらない大原則であるからだ。いくら大金を持っていても、必要でないモノは買わないし、安くなってから買おうとするのが大衆心理である。4月以降の物価上昇は、実際には「増税効果」で物価上昇したのであり、日銀金融緩和の効果は、一部富裕層の消費に貢献した(金持ちに物価は関係しない)だけで、物価の上昇には影響していないはずである。言わば、増税を大義名分にして、デフレで値上げしにくい企業の状況を改善したのである。値上げできた企業の従業員の賃金は上昇するであろうが、値上げできなかった企業、特に中小企業は淘汰されることになる。株式や外貨を保有してこなかった企業や個人は、ダブルパンチで不況に陥る現象が想像以上に多かったのが、現状であると思われる。今回の総選挙は、焦った政府がGDP押し上げ効果を狙って、無理やり解散したと思うのは、考えすぎであろうか。(2014/11/25)

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