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自転車活用は、ロンドンと尼崎に学べ

  • 江村 英哲

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2014年11月28日(金)

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 歩道を歩いていると、背後の自転車から「道をあけよ」とばかりにベルを鳴らされてムッとした経験はないだろうか。「気分が悪い」程度で済むなら良いが、子どもや高齢者と自転車が衝突すれば大けがになりかねない。自転車が歩行者をはねたとして、高額な賠償が求められるケースも出てきている。これは決して他人ごとではない。自転車という免許の必要ない車両は誰でも乗ることができるため、あなたは被害者にも加害者にもなり得るのだ。

 自転車は道路交通法で「軽車両」に該当する。自動車と同じ扱いとなり、歩道と車両が区分されている道路では、車道を通行するのが「原則」だ。車道では自動車の流れと同じ左側の路側を走るのがルール。2013年12月施行の改正道路交通法では、右側を走った場合には法律違反となり、罰則が科されることになった。

 歩道を走る自転車はあくまで「例外」。その例外が日本全国で現在までまかり通っていることが、歩道を走る自転車への「いらだち」につながっているのだろう。

交通事故は減少傾向にあるものの、自転車に限ると増加している
※「自転車の安全利用促進委員会」のデータより作成

 自転車の安全やマナーについて調査・研究する「自転車の安全利用促進委員会」によると、交通事故の総件数は2000年の93万1934件から2010年には72万5773件へ約2割減少した。一方、自転車対歩行者の事故は同じ時期に、1827件から2760件と約1.5倍に増加している。東京都心部では東日本大震災で交通機能がマヒした経験から、通勤や通学に自転車を活用する例が増えているという。健康志向を背景に、自転車の利用者は中期的に増加傾向にある。いつまでも「例外」を許しているようでは、新しい社会問題を生みかねない。

ママチャリの普及が生んだ自転車ルールの曖昧さ

 なぜ、日本の自転車運用のルールは曖昧なのか。NPO法人の自転車活用推進研究会の瀬戸圭祐理事は「1970年代、主婦層が使うシティサイクルが急速に普及したことが背景にある」と説明する。シティサイクルは軽快車ともいい、人口に膾炙した表現では「ママチャリ」と呼ぶ。買い物や子どもの送り迎えに使う実用的な自転車で、ホイールが小さくスピードは出にくい。

 ママチャリが普及した当時の日本は、モータリゼーション花盛り。車道ではクルマの走りやすさが優先された。車道を自転車が走ることは想定外で、買い物かごからネギや大根を出してママチャリが歩道を走っても、それをとがめるという風潮はなかった。その「例外」が日本の自転車文化として、今日まで40年にわたって続いているのだ。

 しかし、時代は変わり自転車は進化・多様化した。マウンテンバイクやロードレーサーなど軽量で大きなホイールの車種は、ママチャリからは想像できないようなスピードを出せる。こうしたスポーツタイプ自転車の愛用者の多くは道路交通法を守って、車道を走っている。だが、中にはルールが曖昧なのを良いことに歩道をわがもの顔で走る利用者もいる。もっともバスや大型車が行き交う狭い道では、自転車が歩道を走らざるを得ないケースもある。自転車側だけに責任を押し付けることはできないのかもしれない。

 いずれにせよ、「自転車が歩道を走る」という長年の慣習が、自転車と歩行者の衝突事故を生む土壌となっていることは確かだ。これから一段と高齢化が進む日本社会で歩道を走る自転車が増えれば、痛ましい事故につながる可能性が高まる。

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