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真っ向から対立する米国建国以来の2つの理念

「自助努力」と「弱者救済」

2014年12月3日(水)

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 米国は、「対立」の状態を通り越して、今や「2つの国家」の様相を呈している。保守派の主張はこうだ。「大統領になればどんな難問でも解決できるというオバマの空手形を信じた無知な有権者がオバマを選んだ。オバマは今やレイムダック。これからの2年、米国は南北戦争以来の最も危険な時代に入ろうとしている。その存続すら脅かされている」。
("America faces most dangerous two years in 150 years," Charles Hurt, Washington Times, 11/5/2014)

「南北戦争以来の危険水域に入った」

 一方、リベラル派の主張はこうだ。「オバマは、すべての市民に益をもたらす社会経済的システムの構築を目指した。この夢は共和党の『醜い勢力』によって破られてしまった。これはオバマの敗北と言うより、もっと大きく深いアメリカの真の夢が壊されたことを意味する」
("The Two-Sided Dynamic of Our National Crisis," Andy Schmookler, Huffington Post, 11/20/2014)

 保守派がオバマ大統領の「独りよがり」と「権力乱用」を批判すれば、リベラル派は「解体屋と化した共和党の破壊的政治手法」を激しく非難する。もはや妥協の余地はない。

 高校で米国史を30年間教えてきた元教師、ケネス・ローリン氏(70)=ロサンゼルス近郊在住=は筆者にこう述べる。「公民権運動やベトナム戦争の時ですらここまでの分裂はなかった。とにかく、中高年の白人層と、有色人種(黒人、ヒスパニック)及び白人過激派リベラルとの意見の食い違いは広がる一方だ。北米大陸に『2つの国家』『2つの政府』が存在しているようなものだ」。

「自助努力」か、「弱者救済」か

 米国という国家がよってたつ2つの理念。それが真っ向から激突している。しかも、この亀裂が産む「2つの国」の狭間に築かれた「人種の壁」が話をより複雑にしている。

 第1の理念は、建国以来(あるいは建国以前の植民地時代から)、個々の米国民に求められてきた「自助努力」の精神だ。平たく言えば、「働かざるもの食うべからず」。一生懸命働けば、この新天地で必ず夢はかなえられる。まさに「アメリカン・ドリーム」の原点だ。共和党はその精神を基本に「自助自立」政策を重視、「小さな政府、自由競争社会」を目指してきた。

 もう1つの理念は「弱者救済」。「弱きもの、貧しきものを助ける」というキリスト教に由来する助け合いの精神だ。フランス人政治学者、アレクシ・ド・トクヴィルは、その著書「アメリカにおける民主主義」(1835年)の中で、これを「Voluntary associations」(篤志的な付き合い)と名づけている。「社会生活の向上を目指して、個々人のイニシアチブによって行われる相互扶助精神」だ。リベラル派はその精神を政府の福祉政策や貧困対策に盛り込むことに重点を置いてきた。
("Democracy in America," Alexis de Tocqueville)

 米国という多民族国家では、「人種問題」がこの2つの対峙する理念に纏わりついて離れない。「肌の色」は依然として社会における不平等を生み、それが貧富の差となり、不満分子による犯罪へとつながる。当然のことながら保守派は「法と秩序」を前面に押し出す。リベラル派は犯罪を生まぬための福祉・雇用政策の必要性を訴える。

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「真っ向から対立する米国建国以来の2つの理念」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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