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エアバッグリコール問題に見る技術経営の重要性

大学と企業が一丸となる意義

2014年12月11日(木)

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 タカタのエアバッグにまつわるリコール問題が、自動車業界を巻き込む形で大きな問題として世界を駆け巡っている。対象となる車種と国や地域の拡大が、リコール台数を増やしていることで深刻な状況に陥っている。

 エアバッグを膨らませるためのガスを発生させる装置であるインフレ―ターでガスが異常燃焼して、部品の金属片がエアバッグを突き破り外に飛散するという問題である。「ガス発生剤として爆発力がある硝酸アンモニウムを使ったのは、コストを下げるためではなかったか」とテネシー州の議員から問いかけられている。

 タカタは、高温多湿地域での発生と言う切り口で、対象とする国や地域を限定してきた。しかし、異常爆発に至る原因が特定されていない中、地域限定をする論拠の説得性が乏しい姿になっている。

 昨今のグローバルな気候変動は、国や地域の境界線を引くのに難しさがある。まして自動車は移動体であるがゆえに、該当する地域に入り込んで使われることも当然ながらあるのでなおさらだ。

 このタカタの問題は、筆者が1980年代の前半に経験した、ホンダの錆問題と共通点が多いように思う。欧米市場に自動車の輸出を開始した時期に、車体やエンジン部品に発生した錆問題は、リコールまでには発展しなかったが、市場からのクレームも凄まじいものがあった。「ホンダが潰れるかもしれない」と揶揄されたほどの問題だったのだ。

 筆者自ら腐食のメカニズムを解明していた際に、確かに腐食の進行する湿度や塩分の条件などが発生や進行に大きく影響を及ぼすことを、実験を通じて直接確認した。当初の市場クレーム対応も、塩害地区といって北米の五大湖以北や、欧州のフランス以北に限定してサービスキャンペーン(品質確保のため自主的にかつ無償で修理する活動)を展開した。

 しかし、その地域限定的な考えは必ずしも的を射ていなかった。他の地域でも、時間がかかるにしろ発生したことから、地域的な境界線を引くことができなかったからである。結果的にはどんな国や地域でも、腐食が発生しない材料とプロセス技術の根本的な取り組みこそが、すべてを解決する唯一の手法と判断するに至ったのである。

大学の視点から技術経営を

 今回のタカタのエアバッグのリコールのような問題を2度と起こさないようにするためには、技術開発とともに、経営において研究開発戦略や事業化戦略を技術的視点から判断していく技術経営が重要だ。ホンダの錆問題においての対応でもそうであったが、技術開発と技術経営の両輪を、バランス良く駆動させることが必要とされるのだ。

 近年、日本の大学院のカリキュラムで、「技術経営」に関するテーマが多くなってきている。特に社会人コースにおいて顕著ではあるが、それだけ企業における技術経営が重要であることを物語っていると言えるだろう。企業だけでなく大学から技術経営を強めようという姿勢は、今後の日本において重要な取り組みとなる。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

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「エアバッグリコール問題に見る技術経営の重要性」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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