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ケインズ政策と財政健全化の二兎は追えない

選挙の争点を考える

  • 土居 丈朗

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[2/3ページ]

2014年12月12日(金)

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 欧州諸国では、自国で自律的に国債残高の累増を食い止めるのが難しいことを踏まえ、EU加盟国で協定を結び、隣人監視で他律的にその累増を食い止める方策を採用した。国債残高が累増して協定を破りそうになれば、他の加盟国が叱咤し、場合によっては制裁を下せるようにした。

 アメリカは、一貫して「小さな政府」を志向する国民がそれなりの規模で存在する。時として、その勢力が中心となった政権も誕生している。この一派は、政府支出の規模が拡大することも嫌うし、政府債務の累増も嫌う。なぜなら、政府債務が累増すればそれだけ利払費が多くかかり、その分多く税負担を強いられるからである。だから、アメリカ国内では、政府債務の累増を伴うような政府支出の拡大が起こりそうになれば、その動きを厳しく批判し、政府債務累増の抑止力となっている。

負担感の麻痺に起因するワナ

 では、日本はどうか。今般の衆議院総選挙で、そんな勢力は存在しない。確かに、公務員人件費の膨張に嫌悪感を抱く有権者は一定数いる。しかし、公務員人件費の膨張を批判する有権者の中で、社会保障費や教育費など、他の政府支出についても規模の膨張を、一貫して批判する人はかなり数が限られる。公務員人件費の膨張を批判する有権者の中には、社会保障費をやみくもに削減すべきでないという考えを持つ人の方が多いだろう。公務員人件費削減を主張しつつも、政府債務の累増には目をつむっていたりするのだ。

 この考えが悪いと言いたいわけではない。ただ、日本では、公務員人件費を削減するということと、「小さな政府」志向であることとは、多くの場合必ずしも一貫していないということだけは確かである。もしアメリカにあるような真に「小さな政府」志向の考え方に基づけば、政府支出の膨張だけでなく、政府債務の累増も批判すべき対象なのである。

 どうやら、今般の衆議院総選挙では、各政党は、税負担と政府支出との対応関係について、整理が不十分なままに論戦を行っているようだ。これこそ、ブキャナンらが指摘した、政府債務による負担感の麻痺に起因するワナである。

 増税反対という主張は、一つの立派な考え方だ。それと対応して、(公務員人件費以外の)政府支出も減らせ、というなら一貫性がある。しかし、国債で財源を賄えば政府支出を増やせるから、増税に反対しつつも政府支出は増やせる、というなら、まさにケインズ政策のワナである。国債はいずれ誰かの負担で返済しなければならない。自分は増税の負担を負わないで、政府支出の恩恵だけ受けたい、というなら、単なる負担のつけ回しにすぎない。そのつけ回す先が、自分よりお金持ちの人なのか、まだ見ぬ将来の子孫なのかを不問にして。

 まさに、ケインズ政策は、景気対策という美名の下に、これと同じことをしている。景気対策だから、目先の不況の痛みを免れることを優先すれば、負担を他につけ回すことが許されるかのようだが、そんなことはない。高い率の経済成長をすれば増税しなくても好況期には財政健全化できる(国債を返済できる)というが、そんなこともない。

コメント3件コメント/レビュー

筆者の逃げ道のない形で約束するしか方法はない―けだし至言。アベノミクスはアベノリスクに通じるにも拘らず、その事を但し書きしないのは、そこまで云うう必要は要らないだろうと思っているのか、謂わば見出しだけをぶち上げて後のご判断はどうぞご勝手にを決め込んでいるのかのどちらかだ。似たような表現や行動と言うか、垣間見られるインチキは、今あなたがやらなければいけない事をやらないで、在任中かどうかも判らない先々の事だけを決めるは要らぬ世話というもの、却ってリーダーの無神経さ・無責任さが読み取れる。昔から政治は經濟の動向については読めない、読まない、一寸先は闇だと宣う為政者だが、調子のいい時は一所懸命調子に合わせてだけのもの言いとは、如何なものか。この道・アベノミクスしかないは、筆者の云う逃げ道のない形で約束するしか方法はないとは全然異なっている。増税負担感を麻痺させるため?―民は心底、だまし絵でないことを心から願っている。(2014/12/12)

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筆者の逃げ道のない形で約束するしか方法はない―けだし至言。アベノミクスはアベノリスクに通じるにも拘らず、その事を但し書きしないのは、そこまで云うう必要は要らないだろうと思っているのか、謂わば見出しだけをぶち上げて後のご判断はどうぞご勝手にを決め込んでいるのかのどちらかだ。似たような表現や行動と言うか、垣間見られるインチキは、今あなたがやらなければいけない事をやらないで、在任中かどうかも判らない先々の事だけを決めるは要らぬ世話というもの、却ってリーダーの無神経さ・無責任さが読み取れる。昔から政治は經濟の動向については読めない、読まない、一寸先は闇だと宣う為政者だが、調子のいい時は一所懸命調子に合わせてだけのもの言いとは、如何なものか。この道・アベノミクスしかないは、筆者の云う逃げ道のない形で約束するしか方法はないとは全然異なっている。増税負担感を麻痺させるため?―民は心底、だまし絵でないことを心から願っている。(2014/12/12)

記事の指摘には全く同感で、既に年金生活に入っている自分としては、あいも変わらず税収の2倍もの支出を平然と続ける政府に腹が立ち、子供達や孫達に申し訳ないと思っている。金持ちたちは孫に千五百万円づつの教育費をプレゼント出来るから、多少の罪滅ぼしが出来るのだろうが、私自身にはそれ程の資産はない。政治家の常套手段として、「景気が回復したら財政健全化をすれば良い。」と自分たちの赤字財政の付けを子孫に垂れ流し続けて20年が過ぎている。財政の2倍近い歳出だけでも既に十数年繰り返し、嘘を尽き続けているのだ。政治家たちは国民に嘘を付き続けている事を自覚しながら素知らぬ顔をしているのだから、相当な悪人揃いと言える。今回の選挙は不在者投票で、昨日既に済ませたが、財政再建を第一に上げる政党がなかったので、消費増税を先延ばしにした政権への反対票を投じた。現在のドイツの発展の基礎を作ったのは、財政再建で大きくなり過ぎた社会保障費を削減し、その政策を実行した政権の政党は次の選挙で大敗したが、今は国の恩人と尊敬されている事と思う。ドイツほどの合理主義の権化の様な国でもこんな調子だから、日本では担当政権の政党が消滅するくらいの意気込みで実行しなければ実現はあり得ない。私には既に財政破綻の足音が近付いているのが分かる。格付け会社は各社日本の国債の格付けを三流国並みのレベルに落とした。日本を「世界一流の先進民主主義国家」と唱えている政治家は、この事には一言も触れず、口を拭ったままだ。出よ財政再建政党!少なくとも、私は自分の票は投じることを約束する。(2014/12/12)

アメリカはそもそも増税に反抗してできた国で、例え貧乏であっても、税金も払いたくなければ、国家の援助も受けたくないというDNAが生きている。でも日本では政府は「お上」であり、「お上」の義務として国民を保護し、面倒みなくてはいけないようなDNAがあるような気がします。ケインズ政策なしに、いわゆる国内産業はまわっていくのでしょうか?(2014/12/12)

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