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ナッツリターンに見る韓国財閥の影

おごらずに顧客視線を受け止める経営を

2014年12月25日(木)

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 韓国の最近の話題と言えば、大韓航空の財閥令嬢が巻き起こした「ナッツリターン」事件であろう。そのニュースは世界を駆け巡り、韓国における財閥の権力をまざまざと見せつける光景であったし、それ以上にそういった財閥に生まれ育った人間の人格を疑わざるを得ない光景に映った。ただ、実情を知るものからすると韓国の力を持つ者の論理、それも大手財閥であるからして、さもありなんという節もある。

思想次第で毒にも薬にもなる

 もちろん、財閥がすべてこのような状況かと言えば、そんなことはない。筆者が知っているところでは、サムスン電子のイ・ゴンヒ会長の息子である同社副会長のイ・ジェヨン氏が真っ先に目に浮かぶ。彼は、イ・ゴンヒ会長が闘病中の中、12月上旬にグループの社長団と役員の人事を主導した。

 大財閥を率いながら、彼の姿勢は常に穏やかでクールなことで知られている。その洗練された雰囲気は、筆者がサムスンに在籍中に意見交換した際にも感じ取れた。「他人の意見に耳を傾ける」「質問に対しては丁寧に答える」「持論を決して押し付けない」など、帝王学を身に着けつつあるスタイルに見えた。韓国ソウル大学を経て、慶応大学大学院、ハーバード大学大学院と渡り歩き、韓日米の文化と産業、政治を学んだことでのグローバルな経験が基本のベースになっているのだろう。

 サムスンの研修施設「創造館」は、その前面に「人材第一」という文字を掲げて運営している。すなわち社員を大切にする精神が刻まれている。その一方で、信賞必罰のシステムによって、事業の失敗や成果が出ないと役員は更迭、逆に大きな成果を出すことで30歳代の役員任用もあるなど、明確な処遇が執り行われる。

 結局、財閥のファミリーがどのように振る舞うのかは、ファミリーの思想、そこに受け継がれる教育、最後には本人自身の行動規範となるわけだ。日本のワイドショーでは、財閥の悪いところだけが取り上げられているが、一概にくくることができないのが実態だ。

 そのサムスングループと言えば、全体での事業規模を現在の35兆円程度から、2020年までには40兆円に成長させることをターゲットとしている。成長の原動力にはエネルギー事業とヘルスケア事業を目論んでいるが、先行きは必ずしもバラ色ではない。

 特にエネルギー事業ではLEDと太陽電池事業の伸び悩みが全体の足を引っ張っている。そのような中、リチウムイオン電池事業の拡大に注力しつつ、民生用ではマレーシアでの工場建設と稼働、車載用では中国の西安市に工場を建設していることなど、日系の電池企業よりもかなり積極果敢なグローバル展開を進めている。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

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「ナッツリターンに見る韓国財閥の影」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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