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日本の所得格差の転換点は1997年

2014年12月26日(金)

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「でも私は、あらゆる社会科学者、あらゆるジャーナリストや評論家、労働組合や各種傾向の政治に参加する活動家たち、そして特にあらゆる市民たちは、お金やその計測、それを取り巻く事実とその歴史に、真剣に興味を抱くべきだと思うのだ。お金を大量に持つ人々は、必ず自分の利益をしっかり守ろうとする。数字との取り組みを拒絶したところで、それが最も恵まれない人の利益にかなうことなど、まずありえないのだ。」(トマ・ピケティ『21世紀の資本』おわりに、から引用)

 岡直樹さん(前国税庁国際課税分析官)の好評連載「ピケティと同じ手法で『日本の富』を分析してみた!」の最終回は、Bottom50%問題を取り上げる。税務データによれば、日本のBottom50%の所得シェアは30%弱であり、シェア15%以下の米国の2倍だ。しかしながら、データからは1990年代後半に転換点を迎えたと分析する。

 「ガリア全体は、三つの部分に分かれていて、その一つにはベルガエ人が住み、もう一つにはアクィタニ人が住み、三つめには、その土地の人の言葉でケルタエ人とよばれ、われわれローマ人の言葉でガリア人とよばれる民族が住んでいる。この三部族は、お互いに違った言語と習慣と制度をもっている」(カエサル『ガリア戦記』國原吉之助訳、講談社学術文庫)

 トマ・ピケティ教授のアプローチを、『ガリア戦記』のこの有名な冒頭の一節風に整理すれば、「国民は全部で3つにわかれ、その1つにはTop10%の人、もう1つには中間層40%の人、3つめにはBottom50%の人が住む。どれもお互いに所得や富の種類、適用される法律(税率)が違う」とでもなるだろうか(※1)。

 2012年のわが国の納税者は、総務省によれば5448万人、うち税額のある人は5058万人とされる。Top10%はおよそ500万人、中間層40%は2000万人だ。それぞれのグループの所得金額は、Top10%はおおむね1000万円より大きい人々であり、中間層40%は400~1000万円の人々である。

 同様に、IRS(わが国の国税庁に相当)によれば、2009年の米国の納税者は1億3798万人なので、Top10%は1400万人、中間層40%は5500万人だ。所得金額は、Top10%は11万2000ドル(120円換算で1300万円)より大きい人々であり、中間層40%は3.2万~11.2万ドル(120円換算で390~1300万円)の人々である。

 中間層40%やBottom50%は、経済社会において大きなウエイトを占めている人々だ。2012年において、これらグループに帰属した所得の金額の合計は94兆円で、同年の国民所得の27%に相当する規模である。

 このコラムの第1回第2回では、Top1%、Top0.1%など、ごく一握りのスーパーリッチについての税務データを紹介してきた。今回はわれわれ自身について観察することとしたい。

 というわけで、第3回(最終回)は、税務統計データから読み解く日・米の中間層及びBottom50%の実態と歴史的な推移について(※2)。

(※1)納税者が100人の場合、もっとも所得が大きい人から10人目(Top10%)、11人目から50人目(中間層40%)、51人目から100人目(Bottom50%)のこと。ピケティ教授は、いわゆる中間層を「Middle40%」「中間層40%」としてとらえている。本コラムもこの定義に倣った。
(※2)本コラムは、財務省財務総合政策研究所編集・発行「森信茂樹中央大学法科大学院教授責任編集 特集「家計の消費・貯蓄行動と税制の在り方」(本コラムでは以下「FR118号」と略す)47ページ以下に収録された筆者の論考に基づいて作成した。本コラムにおけるデータの解釈や見解は筆者個人のものであり、所属する組織などとは無関係である。

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